由規の速球に憧れ――日の丸背負った経験も糧に、ドラ1候補へ成長を遂げた熊原健人
大学日本代表とU21日本代表と2度、日の丸を背負い、ドラフト1位候補に挙げられている仙台大の152キロ右腕・熊原健人。秋のリーグ戦は納得のいく結果をあげられなかったが、プロを目指して、日々野球に取り組んでいた。22日、熊原に吉報は届くか。
2015/10/16
高橋昌江
最後のリーグ戦は2位に
ドラフト1位候補に挙げられている仙台大の152キロ右腕・熊原健人投手(4年)。最後のリーグ戦を2位で終え、ドラフト会議を待っている。
有終の美は飾れなかった。
10月10日、仙台六大学野球秋季リーグ戦の最終節。勝ち点4同士で並ぶ仙台大と東北福祉大の“頂上決戦”に先発した。東北福祉大もプロ志望届を出している最速151キロ右腕・佐藤優(4年)をマウンドに送った。ドラフト候補同士の投げ合いとあって、この日のスタンドには、プロ9球団32人のスカウトや関係者が終結。楽天・星野仙一副会長の姿もあった。
立ち上がりがいい時は少ない。
この日も初回に2四球から2失点。それでも、2回以降は変化球を多投し、危なげない投球を続けた。6回には味方が同点に追いついてくれた。ところが8回、2死無走者で東北福祉大の3番・楠本泰史(2年)に高めに抜けた直球を左中間スタンドに運ばれた。熊原にとっては、今年のオープン戦、公式戦を通じて初の被弾が決勝点となり、敗戦投手となった。
囲み取材後、荷物を片付けながらつぶやいた。
「完敗です。……なんで、あそこでホームランを打つかな……」
翌日は、仙台大が2対0とリードしていたが、9回、1点差に迫られたところで先発・馬場皐輔(2年)が降板。熊原が抑えを託されてマウンドに登ったが、東北福祉大の8番・井澤凌一朗(3年)に逆転の2点適時二塁打を浴びた。その裏、仙台大は反撃できず、熊原は2日続けて、1球に泣いた。