小笠原慎之介はエース道を歩むか?平沼翔太は野手で成功? 春・夏甲子園優勝投手のプロ入り後
甲子園優勝投手は、ドラフト時に大きく注目される。しかしプロ入りする選手は意外にも少なく成績も明暗分かれる。また野手転向で活躍する優勝投手も多い。
2015/10/17
先発組が多い夏の優勝投手
22日のドラフト会議まで1週間を切った。
今年の目玉の1人として注目を集めるのが最速152kmを誇る甲子園V左腕、小笠原慎之介(東海大相模)だ。今年の高校生投手では屈指とされるストレートに加え、夏の甲子園決勝では9回を完投、自身のホームランで決勝点をたたき出すなどスター性も高く、複数の球団が1位指名候補としてリストアップしているという。
しかし過去の夏の甲子園優勝投手のプロ入り後を見ると、意外なほどプロで活躍している選手は少ない。過去20年でプロ入りを果たした夏の優勝投手は以下のとおり。
松坂大輔 (98横浜→西武【1】) 204試合108勝60敗 防御率2.95
正田 樹 (99桐生第一→日本ハム【1】) 123試合25勝38敗 防御率4.70
近藤一樹 (01日大三→近鉄【7】) 127試合29勝43敗 防御率4.56
田中将大 (05駒大苫小牧→06楽天【1】) 175試合99勝35敗 防御率2.30
斎藤佑樹 (06早実→早大→10日本ハム【1】) 57試合14勝19敗 防御率3.97
堂林翔太 (09中京大中京→広島【2】※内野手転向) 375試合 285安打
島袋洋奨 (10興南→中大→14ソフトバンク【4】) 2試合0勝0敗 防御率0.00
藤浪晋太郎(12大阪桐蔭→阪神【1】) 77試合35勝21敗 防御率2.86
高橋光成 (13前橋育英→14西武【1】) 8試合5勝2敗 防御率3.07
そもそも過去20年間の甲子園優勝投手でプロ入りを果たしているのはわずか9人のみ、半分にも満たない。
大学での登板過多で指名順位を落とした島袋や、早大進学後に精彩を欠いた吉永健太朗(日大三)ら近年は大学進学後に調子を崩す選手が多い。
高卒でプロ入りした中では松坂、田中、藤浪と球界を代表するエースも誕生している。彼らは、みなプロ1年目から活躍している。
一方で期待通りの活躍ができなかった選手もいる。
群馬県勢初の甲子園優勝に貢献した正田は、3年目に9勝をあげ新人王受賞もその後は結果を残せず。09、10年には台湾の興農ブルズで活躍し、再びNPBに復帰したが不本意な成績で終わった。01年優勝投手の近藤もプロ入り7年目の08年に10勝をあげるも、厳しい状況が続く。ここ5年間でわずか4勝に終わっている。
なお3年夏の甲子園で4番エースとして活躍した堂林はカープから内野手として指名。3年目の12年に全試合出場、14本塁打を記録する。しかし確実性に乏しく今季はわずか33試合出場、シーズンの大半を2軍で過ごした。
しかしプロ入り後に野手に転向し、成功を収めた選手も多い。詳しくは後述する。