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投手としての才能も? 素材は糸井や谷レベル、ドラフト指名を待つ大阪偕星・姫野優也

22日にドラフト会議が行われる。今年の夏の甲子園に出場した大阪偕星の姫野優也もドラフト指名候補の1人と言われている。ドラフト指名直前、山本監督は何を思うのか。

2015/10/21

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過去よりも今の姿を見てほしい

 山本はこの種の見方に憤りを感じている。
 
「〝貴方は幼稚園のときに人を叩いたことはありますよね〟〝小学生のときに出来心で万引きをしてしまったことありませんか?〟極論ですけれど、昔の話を持ち出して、その子どもを評価するのは卑怯だと思うんです。子どもは道を間違えるもの、いろんな失敗をして壁にぶつかって大人になっていく。学生というのはその過程。〝横〟になってしまったら〝縦〟にするのが教員の役割。もちろん今は最初から社会性を持った子どもも多い。でも昔はもっとみんなやんちゃで、社会性を持つまで時間が掛かりませんでしたか、と思います」
 
 甲子園出場を経て、姫野は周りの生徒に対して思いやりを持てる人間に成長したと山本は評価している。だから、今の彼の姿を見てもらいたいと。
 
「スピードガンで150キロ投げるピッチャーを才能があるから指名するというのは、誰でも出来る。プロのスカウトというのはその選手の将来性を見抜く必要がある。だからプロなんじゃないですか? これだけの素材を見て何も思わないんだったら……何がプロなのかと思いますよ」
 
 スカウトには保身を考える人間が増えたとはよく言われることだ。少し外れた選手を押して失敗した場合、組織の中での立場が弱くなることを恐れているのだ。そのため、みなが文句をつけにくい、甲子園で活躍した、いわば丸っこい選手を指名しがちになる。
 
 また、姫野のような荒削りな才能に球団が怖じ気づくのは日本のプロ野球の〝育成システム〟の問題もある。
 
 当然のことであるのだが、選手としての才能と指導者としての才能は全く別である。そして億単位を稼ぎ出す可能性の素材を扱う人間は、様々な成功、失敗体験をくぐり抜けた選りすぐりの指導者であるべきである。
 
 しかし、実際には指導者としての資質をきちんと精査せず選手として結果を残した人間、あるいはフロントの覚えめでたい人畜無害なOBがその重要な地位に据えられることが多い。そして、多くの才能がそこですり減り、結果を残すことなく球界を去ってきた。
 
 今年のドラフト会議は10月22日。姫野の才能をきちんと評価する正当なスカウト、育てる自信のあるコーチのいる球団が指名する――はずである。

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