NTT西日本・戸柱恭孝、社会人3年目でつかんだプロへの切符。来季DeNAの正捕手争いへ【横尾弘一のプロにつながる社会人野球】
先日閉幕した社会人野球日本選手権大会には、今季横浜DeNAベイスターズからドラフト4位で指名を受けたNTT西日本・戸柱恭孝も出場した。指揮官が交代し、正捕手が不確定のDeNA。1年目からチャンスだ。
2015/11/17
宮野敦子
正捕手を固定できていないDeNAだからこそ1年目からチャンス
春先からの公式戦で目立つ成績を残し、都市対抗への出場権も2年ぶりに手にする。ここまでの活躍で、前田監督には戸柱を指名したいという申し入れがいくつかあったようだ。指名の確信を得た前田監督は、都市対抗予選直後の北海道大会では、来季を睨んで新人の大城卓三にマスクを被らせる。さらに、戸柱には大城の指導を任せたが、戸柱は「ドラフト指名を受けたら何でも教えるから、今は勘弁してくれ」と大城に伝えたという。
「北海道大会でマスクを被らなかった時は、監督からの信頼を感じる一方で、都市対抗本大会まで1カ月近くも公式戦から遠ざかることに危機感を抱いていました。また、大城の件に関しては……(笑)。やはり去年のことがありますし、チームに残れば大城はライバルですからね」
数球団から調査書が届き、迎えた10月22日。阪神が2位で明治大の坂本誠志郎、中日が3位でトヨタ自動車の木下拓哉を指名すると、「戸柱の表情が硬くなっていくので心配になった」と前田監督は語ったが、横浜DeNAが4位で指名する。
「社会人で3年間、一生懸命プレーして、ようやくスタートラインに立てた」
戸柱も率直な気持ちをそう表現した。28歳の黒羽根利規、24歳の嶺井博希、22歳の髙城俊人が競い合うも、正捕手を固定できないチームに、25歳の戸柱が飛び込む。
「若い選手が競争しているチーム。自分もその競争に加われるよう頑張りたい」
イニング間の二塁送球も常に全力で投げるなど、出し惜しみをしない姿勢が高く評価された社会人を代表する司令塔が、プロの世界でどんな輝きを放つか注目したい。