【プレミア12】日本で培った経験。グループリーグ敗退の危機も、陽岱鋼とチェン・グァンユウは動じず
チャイニーズ・タイペイは、日本のプロ野球でプレーする二人の選手が中心だ。グループリーグ敗退の危機の直面しているが、全く慌てていない。
2015/11/14
中島大輔
1年前はトライアウトを受けていた
もうひとり、日本球界で活躍中の台湾出身選手がチャイニーズ・タイペイで中心選手になっている。ロッテの陳冠宇(チェン・グァンユウ)だ。
振り返れば1年前、チェンは静岡県の草薙球場で合同トライアウトに臨んでいた。
DeNAから戦力外通告を下されたものの、合同トライアウトでは左腕からキレのいいストレートやスライダーを投げ込み、その後入団テストを経てロッテへ。2015年の開幕こそ出遅れたが、シーズン中盤から先発として器用され、9月には3勝を挙げてクライマックスシリーズ登板も果たした。
そしていま、チャイニーズ・タイペイの一員として台湾に凱旋中なのだ。
「トライアウトでは自分の100%で投げて、もう1回チャンスをもらいました。今年は素晴らしいシーズンになりましたね。今後は日本シリーズに投げたい」
そう笑うチェンにとって、大きかったのはロッテ入団から1軍昇格を果たすまでに行った“意識改革”だった。
「開幕のときは調子が悪かったけど、2軍で調整しているときにコーチから、『試合ではリラックスして楽しむように』と言われました。それで良くなりましたね。プロ初勝利を取ってから、心配しないで投げられるようになりました。代表では最初プレッシャーが強かったけど、いまは楽しんで投げています」
今回のプレミア12では初戦のオランダ戦で先発して2回4失点で降板すると、3戦目のカナダ戦では中継ぎで1回を投げて2失点だった。思うような結果が出ていないのは、日本のプロ野球で通じていたアウトコースへのストレートが、パワフルな外国人打者たちに弾き返されているからだという。
そう分析したうえで、チェンは巻き返しを誓った。
「自分の持ち味をもっと出したい。僕は角度のいいボールを投げるので、インコースにきちっと投げ込むことができれば、外国人のバッターにはあまり打たれません。もっと自分の力を出すことができるはず。明日も準備して、残り2試合投げたい。気持ちを軽く持って投げていきたいですね」
仮にチャイニーズ・タイペイがグループ4位で突破した場合、グループBの首位につける日本がそのまま突破した際には、地元で対戦する可能性がある。
陽岱鋼とチェン・グァンユウ。日本をよく知るふたりが台湾で行われる準々決勝で、難敵として侍ジャパンの前に立ちはだかるかもしれない。