前橋育英監督が選手に伝える“後輩”山本昌の継続力。「1日15分を変えると人生劇的に変わる」を体現
2022/06/25
産経新聞社
情報溢れる今でもあえて話す、山本昌の継続力
そこにプラスして、昔話は好きではないが、自分のことではなく、かつて一緒にやってきた選手の具体例を伝える。よく例に挙げるのが、日大藤沢高の後輩である山本昌と、いすゞ自動車の後輩キャッチャーの松本洋介の話だ。
1学年下の山本昌は高校時代、コントロールはよかったが身体も細く、力がある選手かと言えばそうではなかった。そのためリストを強くし、身体を鍛えるために、トレーニングを勉強し、2キロのダンベルを二つ、購入したという。そしてそのダンベルを使ってできるトレーニングから7〜8種目をピックアップし、その中から寝る前には毎日必ず3種目程度を右、左、それぞれで行ってきた。
時間にすればわずか5分ほど。「それぐらいなら自分にもできる」と思うかもしれないが、彼はそれを高校時代だけでなく、中日ドラゴンズに入ってから引退するまで毎晩続け、常にどんな遠征へ行く時もダンベルを持って移動するため、移動用のバッグが壊れて叱られたこともあった、と言うほどだ。
継続は力なり、とはまさに言ったもので、プロ野球選手を引退するまでの35年間同じことをやり続ける。「1日15分を変えると人生劇的に変わる」と言われたことがある。たとえば草むしりを、1日15分やるのと1年に3日半やる。かける時間は同じだが、ずっときれいな庭を見れば心はきれいになる。まさにその姿勢こそが、山本昌のすごさと強さであり、その具体例を出すだけで選手にも「継続の大切さ」は伝わるはずだ。