ジャイロボールはどうやって投げればいいですか…名将もビクビク?個性豊かな前橋育英の「野球ノート」
2022/07/02
産経新聞社
自分が嬉しかったことはいくらでも選手たちにやってあげたい
もちろん彼らのような突拍子もないコメントばかりでなく、日々の悩みやチームに対して気になることや苦しかった時に実践したことを書いてくる選手もいる。普段「見る」ことを大事にしているつもりの自分でも、そこに記されているのは圧倒的に知らなかったことばかりで、こんなことがあったのか、と驚かされることも多くある。
必然的に私が記すコメントの量も増えた。正式に比べたわけではないが、野球ノートを始めた当初や、それこそ13年の甲子園優勝時よりも今のほうがよほど書いている量は多いのではないだろうか。へたすれば倍以上かもしれない。それだけ私に「書きたい」「伝えたい」と思わせてくれる。この関係性が築けたことに、むしろ感謝したい。
その思いを、というわけではないが、毎年卒業式の前に野球部で「3年生を送る会」が開かれる。選手とご家族、ここ2年のコロナ禍では制限もあったが、3年間一緒に過ごした仲間と過ごす最後の時間、全員へ向けたスピーチもするのだが、その時には必ず、3年生1人1人に手紙を書いている。
携帯電話での連絡やコミュニケーションが当たり前になっても、もともとは自分の思いは書いて伝える、手紙に記すほうが好きだ。3年間を思い出し、一人一人に思いを馳せながら書き始めると、書き終える頃には手首や指が痛くなり、アイシングをするほどなのだが、少しも苦しくはない。なぜなら、私も現役時代、師匠の二宮さんから同じように手紙をもらうと、自分のためにこんなことを書いてくれた、見てくれていた、という思いが伝わり嬉しかった。
やられて嫌なことはしない。その代わり、自分が嬉しかったことはいくらでも選手たちにやってあげたい。
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