国際大会としては「課題山積」。WBSCが抱える構造的な問題点【小宮山悟の眼】
第1回プレミア12は韓国の優勝で幕を閉じた。国内では盛り上がったが、今大会を通じて課題も見えた。
2015/12/08
日本国内では視聴率で健闘
今回は先月、日本と台湾で開催された「プレミア12」について総括してみたい。侍ジャパンの活動は、これまでもこの連載で何度か取り上げてきたように、個人的にも注目してきたテーマだ。
その侍ジャパンが初めて臨んだ公式戦をレビューしていく。
認知度や盛り上がりなども含めた大会全体の評価という観点から語っていきたい。
まず、大会自体が成功したのかどうかというテーマから述べていこう。結論を一言でまとめれば、少し厳しい言い方になるが国際大会としては「課題山積だった」という見解が妥当ではないか。
ただ、悲観する内容ばかりではない。国際大会という観点からは残念だったが、日本国内では盛り上がったという事実は、評価されるべきだと思う。
試合中継のテレビ視聴率は、軒並み高い数字を記録したと聞いている。「プレミア12」開催中には、サッカーの代表チームのW杯予選も行われていた。11月12日は、侍ジャパンとサムライブルーの試合が同時間帯に中継されたが、そこで侍ジャパンの試合の視聴率が上回ったことは、野球関係者にとっては何よりのニュースだったろう。
小久保裕紀監督を据えて侍ジャパンを常設。定期的にメディアに露出させ、チームや選手の認知度を高めてきた成果である。日本国内で、そういう活動に携わってきた関係者の頑張りに敬意を表したい。
冒頭、国際大会としては「課題山積」とあえて苦言を呈したのは、盛り上がりを見せたのは、開催地の日本と台湾だけで、あとは、せいぜい韓国くらいだったからだ。
おそらく米国のファンには、大会の開催自体が知られてもいなかっただろう。アメリカでニュースとして報じられることは皆無だった。
また開催直前には、メキシコ代表が参加を辞退するのではないかというニュースも耳に入ってきた。そもそも、そんな情報がメディアに漏れてしまうこと自体がおかしいのだ。