国際大会としては「課題山積」。WBSCが抱える構造的な問題点【小宮山悟の眼】
第1回プレミア12は韓国の優勝で幕を閉じた。国内では盛り上がったが、今大会を通じて課題も見えた。
2015/12/08
野球界の構造上の問題も
大切なのは、野球に関わる各国が集まって、今大会の分析をしっかりとし、その反省を次に生かすことではないだろうか。残念なことに野球には、サッカーのFIFAのような、すべてを傘下に収めた組織が存在しない。
野球の国際大会が盛り上がるためには、世界的な普及率や競技人口の増加は不可欠だ。欲を言えば、サッカーのように200を超えるような国や地域に連盟が誕生するくらいになってほしいと願っている。
では、野球界がそのためにどれだけ活動しているのかといえば……残念ながら、口が裂けても十分とは言えない。
米国球界からは、「ベースボールの世界普及」という声をたびたび聞くが、その本気度にはクエスチョンマークがつく。それなりに活動はしているのだろうが、最終的には、メジャーリーグさえ盛り上がればいい、という姿勢が垣間見えてしまう。
求められるのはリーダーシップ。「プレミア12」を世界一決定戦にすることを目指すというのだから、WBSC(世界野球ソフトボール連盟)が、その役割を担うべきだろう。
野球というスポーツの発展のためには、組織改革が不可欠。
私にとって「プレミア12」は、世界の野球界が抱える構造的な問題点を、改めて考えさせられる大会であった。
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小宮山悟(こみやま・さとる)
1965年、千葉県生まれ。早稲田大学を経て、89年ドラフト1位でロッテ・オリオンズ(現千葉ロッテマリーンズ)へ入団。精度の高い制球力を武器に1年目から先発ローテーション入りを果たすと、以降、千葉ロッテのエースとして活躍した。00年、横浜ベイスターズ(現横浜DeNAベイスターズ)へ移籍。02年はボビー・バレンタイン監督率いるニューヨーク・メッツでプレーした。04年に古巣・千葉ロッテへ復帰、09年に現役を引退した。現在は、野球解説者、野球評論家、Jリーグの理事も務める。