残り3つのアウトを奪う難しさ。則本、2イニングを任せた侍ジャパンに見えた隙【小宮山悟の眼】
前回、第1回プレミア12の大会に関しての総括を述べたが、3位に終わった侍ジャパンの戦いについても総括したい。
2015/12/10
松井、則本の配置転換はスムーズだったのか?
周知の通り、侍ジャパンは準決勝で韓国に大逆転負けをくらい3位に終わった。
もちろん、勝てる試合だったと思う。先発の大谷の球数は、7回を終わってわずか85球だったので、普通に考えれば最後まで続投させるべきだったろう。
ではなぜ交代させたのか? ここからは想像になるが、あらかじめ投球回数や球数が決められていたからではないだろうか。各選手の所属チームからの要請があり、試合前にどういう継投で臨むか、あらかじめ決定されていたのだろう。
真剣勝負の場で、そういう継投策でいいのかという問題になるが、まだ大会自体が熟成していない段階なので仕方のない面もある。故障に配慮した措置が取られていたことは十分に考えられる。
ただ、たとえそういう事情があったとしても、松井裕樹の起用法は少々、不可解に映った。小久保監督は大会前から松井をクローザーに指名すると公言してきたが、韓国戦の最後は則本昂大に託す選択をした。
大会期間中に、松井と則本の調子を見極め、判断したのだから、その采配にどうこう言うつもりはない。だが、その配置転換はスムースに行われたのだろうか。
第2回WBCで、クローザー役を藤川球児からダルビッシュに替えた時、当時の山田久志投手コーチは、藤川に対し「申し訳ないが、抑えはダルビッシュにやってもらう」と筋を通した。もちろん、新たな役割を託されたダルビッシュへの心配りも忘れなかった。
今回のチームでも同様のケアがなされたのか。あくまでチームの外から見た印象だが、はなはだ疑問が残る。
言うまでもないが、代表チームの首脳陣に求められるのは、主に個々の選手の実力をベースアップさせる能力などではない。大切なのは、いかに本来の実力通りにプレーさせるか。調子の上がらない選手を、本来の姿に戻す。簡単にいえば、選手のプライドを守りながら、気持ちよくプレーさせることのできる人が、代表の名コーチなのだ。