仙台育英・須江監督が語る“勝つ野球”の極意。「競技性の理解」から始まる野球論
2022/08/06
産経新聞社
「野球の競技性」を繰り返し説く
須江監督が、中学でも高校でも必ず伝えているのが、「野球の競技性」に関する話だ。
野球は陣地取りゲームであるが、ノーアウト一塁から、アウトひとつを引き換えに進塁しても、得点は入らない。ノーアウト一塁→1アウト二塁→2アウト三塁→チェンジとなる。どこかで、塁をまたぐ必要が出てくる。
それがヒットエンドランのときもあれば、盗塁のときもあれば、長打のときもある。ノーアウト一塁から盗塁を決めて、ノーアウト二塁を作れれば、送りバントで1アウト三塁。この状況であれば、スクイズや内野ゴロ、犠牲フライなど、アウトを引き換えに進塁することで得点が入る。
言われてみれば、当たり前のことである。ただ、バッティングに目がいきすぎると、攻撃側が第一に考えなければいけない「得点を取る」から、離れてしまうことも多い。試合の打席は、バッティングセンターとは意味合いが違う。だからこそ、「野球の競技性」を繰り返し説く。
試合中、須江監督はよく動く。「グリーンライトの盗塁も含めれば、ランナー一塁から、何も仕掛けないことがないかもしれません」と自ら口にするほどだ。2021年秋の宮城大会では、初戦から決勝までの4試合で25盗塁を決め、東北大会に勝ち進んだ。