クイック+送球が3.5秒以下ならアウト…専門家が語る盗塁論(3)筑波大・川村卓准教授
2022/08/19
高校生や大学生で、よく見られる動きのクセは
──高校生や大学生で、よく見られる動きのクセはありますか。
川村 ホームに投げるときに、体の軸がキャッチャー方向に傾いたり、けん制のときには上体が少し起きたりするピッチャーがいます。また、サイドスローやアンダースローに多い動きが、セットポジションの体勢から、頭を下げることで投球動作に入ることです。言い換えれば、頭を下げないと投球動作のきっかけを掴めない。なかなか直しにくいクセになります。
──けん制に引っかかるケースが多い、対左ピッチャーはどうですか。
川村 前の足(右足)に注目することです。どんなフォームであっても、ホームに投げるときには軸足に対してクロスに交わる瞬間があります。ヒザが入るピッチャーもいれば、足首が入るピッチャーもいますが、そのクロスの仕方をしっかりと把握しておくこと。たいてい、けん制がうまい左ピッチャーはクビの使い方がうまく、ランナーもそこに引っかかるケースが多くあります。左ピッチャーに関して言えば、視界を少し下げて、ベルトから下の動きに着目したほうが、スタートを切りやすいと思います。
──クビの動きに惑わされないと。
川村 はい。あとは、右にも左にも共通するのは呼吸ですね。どのピッチャーも、セットポジションに入ったときに呼吸をしています。息を吸うときに足を上げるなど、ピッチャーによって特徴があるものです。その呼吸を感じながらリードを取れると、結構、スタートを切るタイミングがわかっていくと思います。