東南アジアと連携を深める四国アイランドリーグplus~インドネシアのベースボール・ドリーム~
野球は現在、東南アジアの富裕層の間で普及しつつある。実情はどのようなものなのか。
2016/01/06
阿佐智
四国アイランドリーグplusは東南アジアから選手獲得も
このような東南アジアの状況にいち早く目をつけたのが、日本の独立リーグだ。すでに、四国アイランドリーグplusは、2013年シーズンにミャンマー人選手と契約し、「アジア戦略」に先鞭をつけている。シンガポールやインドネシアの状況も把握済みで、今後もこの地域からの選手獲得には力を入れていく方針であるという。今年予定されているシンガポールアカデミー主催の日本遠征チームがアイランドリーグのキャンプに参加する話も着々と進んでいる。
先述のとおり、普及活動をしている側にとっても、独立リーグとは言え、「プロ野球選手」を送り出すことは活動の目に見える成果となるし、なんといっても、国民の月収が3万5000円ほどであり、そもそも就業の機会にも恵まれているとは言えないこの国にあっては、例えそれが数年であったとしても、独立リーグで報酬を手にすることは、選手個々にとっても大きなメリットとなる。そして、彼らが、実際はそう長くはないであろう日本での「プロ生活」を終えた後、母国の野球のレベルアップに貢献することは間違いない。
野球が2020年の東京オリンピックで復帰することは確実である。
そうなれば、本戦進出は難しいものの、東南アジア各国でも予選を念頭に置いた代表チーム強化が図られることだろう。アイランドリーグもその点はすでに念頭においており、各国代表チームとの何らかのかたちでの交流を模索している。
インドネシアのアカデミーには、すでのNPBの人間も見学に来ている。
しかし、競技レベルも高く、組織として大きいNPBにまだ萌芽期にある東南アジアとの交流は難しいのではないか。小回りの利く独立リーグという野球コンテンツはむしろ、「野球不毛の地」に日本野球を浸透させるには有効なツールとなっていくに違いない。