独立リーガーの矜持――「プロ8年目」を迎える西本泰承の2016年
NPBの世界を目指すも、夢破れた一人の選手。しかし、彼は今も、野球だけを「職業」に生活している。
2016/01/22
単身アメリカへ
翌年、彼はアメリカに渡った。別にメジャーを目指したわけではない。ただ、職業としての野球を続けたかった。
「日本の独立リーグでも、(NPBを目指して)まだいけたでしょうけど、4年連続で裏切られて、もう気持ちがもたなかったですね」
西本は、アメリカ独立リーグの強豪、アメリカン・アソシエーションのグランドプレーリー・エアホッグスのキャンプに参加した。
春に契約をすれば、シーズン終了までプレーできることがほとんどの日本と違い、アメリカでは、キャンプがらクビをかけた競争が待っている。
「もとからキャンプまでかなって思ってたんですが、実際行ってみたら、監督さんが言葉もろくにわからない僕のことを、『守備やばいよ。捕ってからがすごく速いよ』って言ってくれたんです。他の選手にも、『見とけ』って。だから、守備ではやっていく自信がありました。でも、日本人だからだめっていう偏見もあるでしょう。それに、日本ほどじゃないけど、コネみたいなのもあるんで、開幕迎えるまでは、信じられませんでしたね」
それでも彼は、開幕戦ではショートのポジションについていた。NPBの助っ人もプレーし、2Aに匹敵するといわれるこのリーグで残した.280の打率は、西本という選手がスカウトたちの落とし物であることを物語っていた。
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