独立リーガーの矜持――「プロ8年目」を迎える西本泰承の2016年
NPBの世界を目指すも、夢破れた一人の選手。しかし、彼は今も、野球だけを「職業」に生活している。
2016/01/22
NPBになぜ行けなかったのか?
アメリカでのプレーは2年で終わった。クビになったわけではない。そもそもアメリカの独立リーグでは、シーズンの終了と同時に契約も切れる。次の年どうなるかは「神のみぞ知る」。西本がオフの期間、「独立リーガー」としか名乗らないのは、プロとしての矜持からなのだろう。
すでに守るべき家族がいる。ひとりの男として生きる上で、様々なことを考えねばならない年代に西本も差し掛かっている。現役はやってもあと5年だと言う。
「それ以上想像できなんですよ。10年後独立リーグでプレーしているかと考えれば、それは考えられない。今のところ、指導者になりたいと思っているので、その自分の目指すところに進んでいける限りはプレーします」
最後に、彼に自身がNPBに進めなかった理由はなにかと聞いてみた。しばしの沈黙の後、彼は口を開いた。
「わからないですね。今もその答えを探しています…。運じゃないですか。独立リーグにも、NPBで結果残せそうな人はいっぱいいますよ。ユニフォームが違うだけで…。引退したらわかるんでしょうけど」
自主トレを見守るファンの目にも、NPBの選手に混じって内野ノックを受ける西本のグラブさばきが他の選手と違わないことは十分に伝わっていたはずだ。
この春、西本泰承は30歳で開幕を迎える。