【2016ドラフト候補の主将】創価大・田中正義、大学球界No.1投手の矜持。「野球だけの人間にはなりたくない」
今秋ドラフト最大の目玉・田中正義(創価大)。今季は自ら主将に立候補し、大学日本一を目指す。
2016/02/17
高木遊
野球だけの人間にはなりたくない
ドラフトイヤーの今年に入り、周囲は過熱している。
1月9日の練習始めには、スカウト計10名、報道陣約50名が集まり、シーズン前のこの時期は取材も多い。
「最近は(ようやく)慣れてきました。カメラが横にあっても、ないような感覚で投げられます」と笑うが、「僕はネガティブなので、このままうまくいくとは思っていませんし、野球で成功するかもわかりません」と本人はいたって冷静だ。
そして「だからこそ、野球しかできない人間にはなりたくないんです。大学に入って余計にそう思うようになりました。監督によく“一流の人間になることが一流の投手になる道だよ”と言われているので」と真剣な眼差しで続けた。
日々の成長が楽しい
岸監督は2月に入ってから選手たちと個人面談を始めた。
「正義こそ“大変だ”と言うのかと思っていたけど、“主将になって良かったです。日々自らが成長しているのを実感でき、その成長が楽しいです。これから色々あると思うけど、何があってもみんなと乗り越えます”と言ってきてね」と岸監督は目を細める。
野球選手としての成長だけを考えれば、これまでとは比べものにならない注目を浴びる年に、自ら負荷をかける必要はなかったかもしれない。それでも、田中は、「一流の人間になるため」あえて茨の道を選んだ。
「自分が結果出すための練習はもちろんのこと、チームが勢いを持って階段を上れるような雰囲気づくりをしていきたいです。(投手でも)声かけとかをして、練習の流れをスムーズにすることができると思うので、心がひとつになるような練習をしていきたいです。不安やプレッシャーはあります。でも、これだけのものを味わえる人もなかなかいないと思うので、毎日が楽しいです」
周囲の過熱をよそに、田中はひた向きに、自らとチームの成長を追い求める。その視線の見据える先には、今年しか叶えられない「大学日本一」という譲れない目標がある。