【2016ドラフト候補の主将】右のスラッガー、横浜商科大・谷口諒。上甲、佐々木両監督に恩返し誓う
左打者の増加により、現在希少価値になっていると言ってもよい「右打ちの強打者」。その言葉にピタリとハマるスラッガーが神奈川大学リーグにいる。
2016/02/23
高木遊
大学で長打力が開花
「野球において、“贔屓(ひいき)”はあってもいい。それは、我慢強く育てるということ。“うまくなってくれよ”というんじゃない。 “自信を持ってやってくれよ”という願いだね」
1984年から横浜商科大を率いる佐々木正雄監督が語るこの言葉通りに谷口諒(4年・済美)は、右の強打者として逞しく成長。憧れの世界だったプロ野球界が、現実の目標となってきた。
昨秋のリーグ戦ではリーグトップの3本塁打(全11試合出場)を記録した。オープン戦も含めれば3年間の大学通算本塁打は計21本。高校時代に金属バットで積み重ねた本塁打が3年間で6本だったということを考えれば、その成長には目を見張るものがある。
技術的にいえば、「バットが下から出すぎていたアッパースイングを修正したこと」や「リラックスした状態でトップを作れるようになったこと」と谷口は明かす。
その技術の進歩を支えたのが豊富な試合経験だ。走者と交錯し右足首の怪我をした2年春のリーグ戦を除き、全試合に出場。
「試合出場を重ね、試行錯誤してきたことが大きいです」と、谷口は佐々木監督の起用に感謝の気持ちを示す。
1年春から主軸として起用され、時には佐々木監督の厳しい言葉や、先輩を差し置いて出場しながら、不甲斐ない結果が続く申し訳なさに心を苛まれることもあった。だが、そこで踏みとどまり、その悔しさをバットで晴らすことに全力を注いだ。そうした過程で、「ありのままを出せばいいと思えるようになりました」と心の余裕も生まれたという。
こうした実直な姿勢に関しては、佐々木監督も「“育ててあげたい”という私と“成長したい”という彼の2つの素直な気持ちが共鳴した結果が出ているのでしょう」と、温かい言葉を口にする。