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JABA四国大会を制した東京ガス。中1日起用に応えたドラフト1位候補・山岡泰輔に漂うエースの風格【横尾弘一のプロにつながる社会人野球】

4月8日から12日まで徳島県鳴門市のオロナミンC球場ほかで開催された第45回JABA四国大会は東京ガスが初優勝を飾った。

2016/04/17

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グランドスラム



今大会で最高殊勲選手賞に選出

 3月下旬の東京都企業春季大会準決勝で、セガサミーを5安打シャットアウトして臨む四国大会。菊池壮光監督は、山岡にひとつのテーマを与える。

「リーグ戦の初戦に山岡を先発させ、準決勝に進出できたら中2~3日で2度目の先発というのが本来の形でしょう。でも、四国大会では力のあるJR四国が第3戦なので、ここに山岡をぶつけ、リーグ戦を勝ち抜いたら中1日で準決勝にも先発させる。優勝を狙うためにはベターな戦い方ですし、都市対抗東京二次予選では中1日での登板も考えられる。そうしたことを踏まえて、山岡を中1日で起用することにしました」

 この起用は、山岡にとっても渡りに船だった。昨年の日本選手権関東最終予選で、山岡は一回戦に完投勝利を挙げたものの、中1日の代表決定戦では先発起用されなかった。決して自分が投げたいという独りよがりの思いではなく、「本当に信頼のあるエースならば、中1日でも先発を任されるはず」と自らの課題として捉え、中1日や連投でも勝てる存在を目指してきた。四国大会では、そのチャンスを与えられたのだ。

 果たして、JR四国とはスコアレスの展開となり、9回裏に一死満塁のピンチに立たされる。だが、三振とショートゴロに切り抜け、タイブレークの延長10回表に打線が4点をもぎ取ると、その裏を抑えて準決勝進出を決める。

 さらに、中1日の準決勝でも、JR九州を相手に安定感抜群のマウンドさばきを披露。2回裏に二死一、三塁のピンチを凌ぐと、3回から8回までは3者凡退に斬って取り、奪三振も10を数える。2試合連続完封で決勝進出の原動力になると、決勝では左腕の宮谷陽介がJX-ENEOSをシャットアウト。大会初優勝を飾り、文句なしの評価を得た山岡は最高殊勲選手賞に選出された。

笑顔で最高殊勲選手賞のトロフィを手にする山岡

「中1日で2勝をしようと調整してきて、2試合目も球威やコントロールが落ちなかったし、連続完封できたのは自信にもなりました。何より、日本選手権の出場権を手にできたのが嬉しい。U-23ワールドカップには出られなくなりましたけど、メキシコにはあまり行きたくなかったから……(笑)。これで都市対抗予選に集中できますね」

 そう笑顔を交えて語る表情には、エースの風格さえ漂う。社会人を卒業すべきシーズンも、心中に期した目標をクリアしながら、山岡は力強く前進している。

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