JABA岡山大会Vはトヨタ自動車。ベテランや若手、プロ経験者を融合、日本一へ動き出した“巨大戦艦”【横尾弘一のプロにつながる社会人野球】
4月13日から岡山県の倉敷マスカットスタジアムほかで開催された第59回JABA岡山大会は、トヨタ自動車が制した。
2016/04/24
グランドスラム
桑原監督「まだまだレベルアップできる」
新日鐵住金広畑と対戦したリーグ戦第1戦では、初戦独特の緊張感がグラウンドを支配し、スコアレスの展開が続く。こうした試合で先制点を奪われ、そのままシャットアウト負けしてしまう強豪は珍しくない。だが、勝負の厳しさを熟知する先発の佐竹功年は、スキのない投球でチャンスを作らせず、味方打線の援護を我慢強く待つ。すると、7回表に新人の藤岡が満塁の走者を一掃する三塁打を放って均衡を破り、3-0で白星を手にする。
難しい1勝目を挙げると、投打の歯車がガッチリと噛み合い、JR四国は8-1(7回コールド)、JFE西日本も9-0で撃破。3試合で20得点、1失点という圧倒的な強さで準決勝進出を決める。
日本通運との準決勝は、再び佐竹が1失点の好投。1-1で延長11回からタイブレークに突入した熱戦は、12回裏に樺澤 健の右犠飛でサヨナラ勝ちを収める。そして、三菱重工長崎との決勝では4年目の右腕が躍動した。
リーグ戦第3戦に続いて先発を任された藤田純基は、試合後半に失速する課題を克服しようと、力まずにスライダーを軸に打たせて取る投球で3者凡退の山を築かせる。打線も2回裏に多木裕史のソロ本塁打で先制し、3回裏にも1点を加える。この日の藤田には、これだけの援護で十分だった。7回に四球で初めて走者を出し、8回には初安打も許すが、その1安打のみで堂々のシャットアウト。
「ノーヒットノーランを意識せず、一球に集中した。ようやく最後まで投げ切れたので、こういうピッチングを全国でもしたい」
そう笑顔で語り、藤田は最高殊勲選手賞のトロフィを抱いた。
また、遊撃手として堅守を誇り、攻撃面でもスピードが魅力の源田壮亮をはじめ、プロのスカウトから注目される選手たちの活躍に目を細めながらも、「まだまだレベルアップできるはず」と桑原監督は語る。佐竹らベテランと藤田、源田ら若手、さらにプロ経験者の細山田も融合した“巨大戦艦”は、4月27日からの第67回JABA京都大会にも自信を持って臨み、日本一へのステップを着実に昇っていくだろう。
【第59回JABA岡山大会の結果】
◆リーグ戦Aブロック
日本新薬 2×1 シティライト岡山(延長10回タイブレーク)
JR西日本 3×2 シティライト岡山
日本通運 2×0 日本新薬
日本通運 2×0 シティライト岡山
日本新薬 4×1 JR西日本
JR西日本 7×3 日本通運
※3チームが2勝1敗で並び、総失点で日本通運が決勝トーナメントに進出。
◆リーグ戦Bブロック
パナソニック 6×0 鮮ど市場ゴールデンラークス
三菱重工広島 13×2 航空自衛隊千歳(7回コールド)
鮮ど市場ゴールデンラークス 3×1 航空自衛隊千歳
パナソニック 9×6 三菱重工広島
三菱重工広島 不戦勝 鮮ど市場ゴールデンラークス
パナソニック 14×0 航空自衛隊千歳(7回コールド)
※パナソニックが3勝で決勝トーナメントに進出。
◆リーグ戦Cブロック
JR四国 4×0 新日鐵住金広畑
JFE西日本 4×3 JR四国(延長10回タイブレーク)
トヨタ自動車 3×0 新日鐵住金広畑
新日鐵住金広畑 3×1 JFE西日本
トヨタ自動車 8×1 JR四国(7回コールド)
トヨタ自動車 9×0 JFE西日本
※トヨタ自動車が3勝で決勝トーナメントに進出。
◆リーグ戦Dブロック
JR東海 2×0 三菱重工長崎
三菱重工長崎 11×1 三菱自動車倉敷オーシャンズ(7回コールド)
伯和ビクトリーズ 3×2 JR東海
JR東海 4×3 三菱自動車倉敷オーシャンズ
三菱重工長崎 2×1 伯和ビクトリーズ
伯和ビクトリーズ 11×3 三菱自動車倉敷オーシャンズ(7回コールド)
※3チームが2勝1敗で並び、総失点で三菱重工長崎が決勝トーナメントに進出。
【P4スコア2】
◆準決勝
トヨタ自動車 2×1 日本通運(延長12回タイブレーク)
◆準決勝
三菱重工長崎 3×1 パナソニック
◆決勝
トヨタ自動車 2×0 三菱重工長崎
※トヨタ自動車は初優勝
◆表彰選手
最高殊勲選手賞/藤田純基投手(トヨタ自動車)
敢闘賞/奥村政稔投手(三菱重工長崎)
首位打者賞/河野凌太外野手(三菱重工長崎)=.571
最優秀投手賞/佐竹功年投手(トヨタ自動車)