24大会ぶりJABA長野県知事旗大会を制したHonda鈴鹿。今季、台風の目になる可能性も【横尾弘一のプロにつながる社会人野球】
4月22日から4日間、長野オリンピックスタジアムなどで第58回JABA長野県知事旗大会が開催され、Honda鈴鹿が制した。
2016/04/30
グランドスラム
新人の採用方針を変更、チーム改革の成果が形に
4月22日から4日間、長野オリンピックスタジアムなどで開催された第58回JABA長野県知事旗大会を制したのはHonda鈴鹿だった。24大会ぶり2回目の優勝を手にしたチームは、今季の社会人野球で旋風を巻き起こしそうなパワーを蓄えている。
3月にHonda鈴鹿の沖縄キャンプを訪ねた際、チームの大きな変化に驚かされた。昨秋のドラフト候補としても注目されていた畔上 翔外野手、山足達也内野手ら7名のルーキーが刺激にもなったようだが、何より選手たちの目の色が違ったのだ。
1994年に都市対抗初優勝を成し遂げたチームも、その後は目立つ実績を上げられずに歴史を重ねた。しかし、新人で黒獅子旗を経験した甲元 訓監督が、就任した2012年からチーム改革に着手。その成果が少しずつ形になってきたという印象がある。
チームを任された甲元監督は、まず新人の採用に着目した。大学や高校で評判の逸材の争奪戦に加わるのではなく、本当の意味でチームの力になってくれる選手を求める。
「やはり関東や近畿の都市圏でプレーしたい選手が多く、鈴鹿というだけで難色を示されることも少なくありませんでした。けれど、日本一を目指せる環境で、レベルの高い練習をしているという自負はある。だから、一度でいいから鈴鹿で練習を見てほしいと伝え、実際に足を運んでくれた選手を採用していきました」
このチームで日本一になりたいと熱望する選手は、愛着や執念も深い。勝ちたいからこそチームメイトの甘さを見過ごさずに指摘し、他人に言ったからには自分でも最大限の努力をする。そうして投げる、打つといったパフォーマンス以外の部分でチームの体質が変化すると、2014年には都市対抗、日本選手権とも熾烈な東海地区予選を勝ち抜く。ところが、昨年は両大会とも予選敗退。ただ、計4回の代表決定戦はすべて1点差負けと、チームの進歩が止まったわけではなかった。
「失点しなければ、1点差で負けることもない。だから、今年は都市対抗予選4試合、本大会5試合の計9試合をすべて完封しようと、投手陣には言いました。何事も、はじめから無理だと思ったらできない。私は本気です」