「ポスト鳥谷」ドラ1候補の吉川尚輝(中京学院大)、自らのバットで人生初の全国大会へ
東海地区大学野球選手権が28日に静岡・浜松球場で行われ、中京学院大が初優勝。創部史上初の全国大会を勝ち取るとともに、ドラフト1位候補・吉川尚輝も人生初の全国大会出場を決めた。
2016/06/02
高木遊
気持ちの強い選手になった
第2戦は日大国際関係学部が勝利したため、勝者が全日本大学野球選手権行きを決める大一番となった第3戦は、日大国際関係学部ペースで進んだ。
2回に吉川は味方三塁手が弾いた打球をカバーし、一塁に矢のような送球を投げ打者走者をアウトにするなど奮闘したが、5回を終わって1対4。過去2回の敗戦を含めても最大の点差をつけられてしまった。
だが、この停滞した空気を打破したのも吉川だった。6回1死走者なしでセカンドゴロを打つが一塁まで俊足を飛ばし、気迫のヘッドスライディングで出塁(記録は相手失策)。その後押し出しでホームを踏むと、楠拓也(4年・塩山)の同点打が飛び出す。
最大の見せ場となったのが、7回1死二塁の場面。吉川は初球から積極的にスイングしファウルとなるも「これでタイミングが掴めました」と振り返るように、3球目を完璧にセンター前へ運ぶ決勝タイムリー。相手送球間に二塁へ向かいヘッドスライディングから起き上がると、味方ベンチに向け渾身のガッツポーズを見せた。
入学時から指導してきた近藤正監督は「技術面はもちろん、精神的に強くなりました」と吉川を称賛。特に6回の全力疾走とヘッドスライディングは「チームに気合いをいれてくれました。もともとはそこまで気持ちを前に出す子ではなかったですから」と愛弟子の成長に目を細めた。
吉川は3度目の正直を大会最優秀選手というこれ以上ない形で決めた。そして、ついに自らの力を全国に示すことができる。
野球人生初の全国大会に向け、「緊張すると思いますが自分のプレーをしたいです」と満面の笑みで答えた吉川。その自分の力が発揮できれば、評価と注目度はさらにうなぎ上りになるだろう。
吉川尚輝(よしかわ・なおき)
1995年2月8日生まれ、岐阜県羽島市出身。桑原スポーツ少年団で野球を始め、羽島フジボーイズ、中京高を経て中京学院大に進学し現在4年生。右投左打。176cm75kg。