JR東日本・板東湧梧、今秋のドラフト候補へ。都市対抗出場へ導いた“イケメン”の快投で評価急上昇【横尾弘一のプロへつながる社会人野球】
7年連続で都市対抗野球の出場を決めたJR東日本。その立役者でもあり、一気に頭角を現したのは板東湧梧だ。
2016/06/10
グランドスラム
山岡と投げ合いチームを勝利へ導いた
さらに、都市対抗東京二次予選では、ファンやメディアの度肝を抜く活躍を見せる。田嶋の粘投で一回戦に勝ち、迎えた準決勝は東京ガスとの対戦。相手の先発が120%山岡泰輔という状況では、中1日でエース格の田嶋、あるいは経験豊富な片山に先発を任せるかと思われたが、堀井哲也監督は板東を選択する。万が一、この試合を落とせば地獄の敗者復活戦にまわらなければならないという重圧の中でも、板東は同い年の山岡に勝るとも劣らない安定感で投手戦に持ち込む。
スコアレスのまま7回裏に一死一、三塁のピンチに立たされると、やはりドラフト候補と目される進藤拓也に交代したが、勝利を呼び込む投球は見事というほかなかった。ある球団の編成担当者は、板東の魅力をこう語る。
「ドラフト候補と言えば、どうしてもストレートの球速や変化球の質に目が行くもの。板東のストレートは140キロ台中盤くらいで、それだけでは注目されにくいでしょう。でも、あのフワッとしたカーブとのコンビネーションを考えれば一級品。しかも、牽制やクイックモーションの速さも申し分ない。高校卒業から2年余りでここまでの完成度に仕上げたJR東日本も凄いけれど、板東自身の意識の高さも評価できますね」
一気の飛躍の仕上げは、鷺宮製作所との第一代表決定戦だった。先発の田嶋が8回まで3安打1失点の好投で、3-1とリードして9回表を迎えたが、一死から連続で四球を与えると進藤が救援。進藤が安打を許して満塁にされると、片山が内野ゴロを打たせて1点差にされるも二死一、三塁となる。ここで登板した板東は、テンポのいい投球で三振を奪い、胴上げ投手となったのである。
ここ数年、十亀 剣(埼玉西武)、吉田一将(オリックス)、関谷亮太、東條大樹(ともに千葉ロッテ)と大学出は2年で、高校出の阿知羅拓馬(中日)は3年目と、ドラフト指名解禁の年にきっちり指名を受けているJR東日本で頭角を現しただけに、いくつかの球団では評価が急上昇しているという。
しかも、野球と関係ないとはいえ、かなりのイケメンだ。
グラウンドや合宿所のある千葉県柏市の広報番組にも駆り出されるなど、あらゆる面でチームの顔になりつつある。7月15日に開幕する第87回都市対抗野球大会では、デビューのマウンドでどんなインパクトを与えてくれるだろう。そして、ドラフト会議までにどれだけ評価を高めるのか注目してみたい。