センバツでプロも注目、長田・園田涼輔。偏差値70超進学校のエースは甲子園に導けるか【2016年夏 各地区逸材ファイル8】
今年の春のセンバツでは21世紀枠で出場を果たした兵庫県・長田高校。県内有数の進学校に、プロが注目する投手がいる。再び、あの甲子園のマウンドへ――園田涼輔の夏がまもなく始まる。
2016/07/07
昨年の夏を経て急成長
もともと現3年生の世代は、部員数も少なく厳しい年という評判だった。
園田自身も1つ上の代では、レギュラーとして活躍していたわけではない。ただ昨夏の三木北戦の敗戦以降、課題を見つめなおした結果、徹底した走りこみによる下半身の強化に取り組んだ。夏を超え、MAX135キロだった球威は増し、キレと持ち前のコントロールにも磨きをかけた。「走り込みによりボールが安定したことで、ピンチに動じないメンタル面も鍛えられた」というように、急成長を遂げた。秋季大会では、名門・神港学園らを相手に4試合で失点3、奪三振率11.42、与四球率1.56を記録し、ベスト8進出の原動力となった。
園田の持ち味は低めにボールを集めるコントロールと、内外角に投げ分ける投球術だ。センバツでは高めにボールが浮く場面もあったが、試合数日前まで右肘の状態が思わしくなく「まともに投げられるかも怪しい状況だった」というコンディションを考慮すれば、充分合格点が与えられる内容といえるだろう。
永井伸哉監督は園田をこう評価する。
「園田より早い球を投げる投手は全国にたくさんいると思います。ただ、園田ほど自分のベストな球をベルトより下に意図的に集めることができるコントロールを持つ高校生はあまりいないのではないでしょうか」
事実、センバツ後にはセ・パ合わせてプロ野球5球団のスカウトが訪れたが、「キレのある速球とチェンジアップを低めに投げ分けるコントロールは高校生離れしている」との評価を受けた。
躍動感あるフォームから投げ込むキレのあるMAX140キロのストレートに、チェンジアップ、スライダー、カーブ、フォークを織り交ぜるクレバーなピッチングスタイルを際立たせるのは並外れた観察眼だ。園田にピッチングの組み立てについて話を聞くと、こんなことを話していた。
「初球は長打だけを打たれないコースに投げ、最悪打たれてもよいという気持ちで打者の反応を見ることが多い。そこで、打者の狙っている球種を探るんです。そのことを意識しだしてから、だいたい打者の反応で狙い球がわかるようになりました。常に考えているのは、いかに相手の裏を突くかということです」