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春夏連覇を狙う智辯学園の強さの源――敗戦を糧にする成長力と団結心【2016年夏 注目校ルポ】

第88回選抜高校野球大会で悲願の初優勝を遂げた智辯学園は、春夏の連覇を狙う。

2016/07/10

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秋の大会で大阪桐蔭に敗れて意識が変わった

 春のセンバツで悲願の全国制覇を成し遂げた名門・智辯学園。王者として迎える夏は各チームから標的とされるが、全員野球の精神で順調な仕上がりを見せている。
 
 偉大な先輩たちも成し得なかった全国の頂き。それを達成した今年のチームの強さはどこに起因するのか。野球部部長の井元康勝氏はこう話す。「素材でいうと、今のチームには岡本和真(現・巨人)や廣岡大志(現・東京ヤクルト)のように元から飛び抜けた選手はいなかった。ただ、それでも村上を中心にチームとして良くまとまり、先輩達が成し得なかった甲子園優勝を果たした。つまりうちは、全員で戦えてこそ勝てるチームなんですよ」
 
 今年の智辯学園の最大の特徴は、敗戦を糧にする成長力だ。
 
 転機が訪れたのは昨秋の近畿大会準々決勝での大阪桐蔭戦。甲子園で47イニングを1人で投げ抜いた絶対的エースの村上頌樹が3回までの7点を失い、9対4での敗戦を喫した。しかし、この敗北でチームは激変する。村上は言う。
 
「大阪桐蔭戦の敗戦で意識が変わった。あの時は、『ピンチで打たれたらどうしよう』という気持があったが、今は桐蔭戦を思い出し『ピンチになればなるほど、自分が抑えてやろう』と思えるようになった」
 
 大阪桐蔭戦以降、エースの村上を含めここぞという勝負どころでの集中力が増した。実際にチームはこれまで随所で見られた取りこぼしがなくなる。選抜を含め天理、明石商業といった強豪を相手にロースコアゲームを制し、公式戦13連勝を果たした。
 
「二度と大阪桐蔭戦のような悔しい思いはしたくない」
 
 部員全員で共有する強い想いが、選抜で準決勝、決勝での2試合連続のサヨナラ勝ちという勝負強さに繋がっていった。
 
 さらに冬には、ワンランク上のチームとなるために食トレで肉体改造にも着手した。もともと体格の良い選手が多いが、徹底した食事管理により一冬を超えた選手たちの体は一回り大きくなった。夜間の2部練習がない時は、白飯のおかわり3杯、2部練習の際はおかわり2杯というノルマを課す。その結果、冬は体重が減る球児が多い中、ほとんどの部員の体重が増えプレーに力強さが加わった。

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