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「練習試合で一度決めて…」浦和実には“奇襲”がある。創部50年で初の甲子園「カーブはいらない」捕手に授ける9つの創意工夫

2025/03/14 NEW

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【写真:編集部】



先輩から届いた一通のメール「ものすごく…」

 「メールには『何て…何て我慢できるチームなんだ』と書かれていたんですね。我慢とは、要はわれわれの守りを指しているし、ものすごく褒められたと思いました」
 
 浦和実の快進撃は横浜に2-3で逆転負けした準決勝で止まった。もっとも、関東大会に続いて明治神宮野球大会を制した横浜から、深谷のセーフティースクイズと相手のエラーで2点を先制するなど、低反発バットにもたらされるロースコアの接戦で最後まで食い下がった。
 

 
 春夏を通じて4度近づきながら、手が届かなかった甲子園の舞台に創部半世紀で初めて挑む。地道に歩んできた日々に抱く万感の思いを、辻川監督はさらに前へ進む力に変える。
 
 「聖望学園に勝った県大会の3回戦あたりから、いい形で点が入るようになった。その後の準々決勝で浦和学院に勝ち、再び訪れたチャンスを今回こそは絶対に逃さない、という思いで戦ってきた。われわれの野球に徹すると、逆に開き直れた部分があったのは間違いないと思っています」
 
 4月に還暦を迎える辻川監督は、ある奇襲も温めている。低反発バット時代の到来とともに、僅差でもリードを奪えば勝てる、という自信を大きく膨らませている証でもある。
 
 「ワンアウト三塁でエンドラン。練習試合で一度決めて、なかなか面白いと思って」
 
 7日に行われた組み合わせ抽選会で、22日の1回戦の相手は滋賀学園(滋賀)に決まった。甲子園でも「我慢」の二文字を合言葉にすえながら、バッテリーのコンビネーション、内外野の堅い守備、常にひとつ先を狙う貪欲な走塁、そしてしぶとい打撃に磨きをかけていく。

 

 
【了】

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