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昔とは明らかに違う選手との関係。「スマホが教科書」の時代に早稲田実はどう信頼を築くのか?和泉実監督が通算10回目の甲子園へ

2025/03/15 NEW

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【写真:編集部】



早稲田実・和泉実監督

高校野球 春の甲子園 最新情報

 昨春に低反発バットが本格的に導入され、約1年が経過しようとしている。同バットの導入で、得点数や本塁打数に変化が生じているが、その中で各校の指揮官はいかなる指導を行なっているのだろうか。今回は早稲田実業学校の和泉実監督にインタビューを実施し、部員への指導法、選抜甲子園出場までの舞台裏に迫った。(取材・文:藤江直人)

 

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低反発バットで「打球が飛ばなくなったのは事実だが・・・」

 
 打球が外野の間を抜けた。外野手の頭を越えた。以前ならば間違いなく長打になっていた当たりが、フライアウトになる光景を何度見てきたか。1992年秋から早稲田実を率い、エースの斎藤佑樹を擁した2006年夏には全国の頂点に導いた和泉監督は苦笑いを浮かべる。
 
 「自分の感覚のなかでも、打球が明らかに飛ばなくなったのは事実ですからね」
 
 2年間の移行期間を経て、高校野球では2024年春から反発係数が抑えられた新基準の低反発バットが正式導入された。例えば甲子園球場で出た本塁打数は、春の選抜が12本から3本、早稲田実が3回戦に進出した夏の選手権が23本から7本と、ともに著しく減少している。
 

 
 それでも和泉監督は「早稲田実の野球を大きく変えた、というのはないですね」とこう続ける。
 
 「低反発バットになってから練習方法などを極端に変えたのかといえば、僕のなかでは変えていない。生徒たちへのアプローチのなかで、低い打球を打とう、センター返しに徹しよう、バントの練習を増やそうといった点を、僕自身はバットが変わる前から常に伝えてきたので」
 
 低反発バット時代の前から一貫した指導に徹してきたなかで、自身の就任後で春の選抜は8年ぶり5回目、夏を含めれば節目の10回目の甲子園に臨む今回はどのようなチームなのか。和泉監督は昨夏もエースを担った左腕・中村心大(こうだい、新3年生)の名前をまず挙げた。
 
 「中村が中心になるのは間違いない。彼のボールがいい形でストライクゾーンに入れば、相手打線もなかなか連打できない。中村をはじめとする投手陣が最少失点に抑えながらゲームが進行していかないと、ウチの打線を考えれば、おそらく野球にならないと思うんですよね」
 
 引き続き「1番」を背負い、新チームのキャプテンにも就任した中村は、秋季東京都大会でもフル回転した。8回裏に一挙5得点をあげて逆転した修徳との2回戦、3-2で競り勝った小山台との準々決勝、6-0で快勝した淑徳との準決勝をすべて一人で投げ抜いた。
 
 二松学舎大付との決勝こそ7回4失点(自責点2)で降板し、試合も延長タイブレーク12回にサヨナラ負けを喫した。それでも和泉監督は継投で送り出した身長196センチの本格派右腕・浅木遥斗(新3年生)、右サイドスローの田中孝太郎(新2年生)の成長に目を細める。

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