昔とは明らかに違う選手との関係。「スマホが教科書」の時代に早稲田実はどう信頼を築くのか?和泉実監督が通算10回目の甲子園へ
2025/03/15 NEW
【写真:編集部】
「こちらを驚かせるような・・・」成長著しい投手陣
「スピードが一番出るのは、今だと中村か浅木じゃないですかね。浅木はまだまだ体を使いこなせていない部分があるけど、指にしっかりとかかったときのボールは145キロを出せるようになって、こちらをちょっと驚かせるようになった。田中は投球が安定してきた。決勝の延長戦になってからはタイブレークだったけど、あれが普通にイニングの頭だったらどうなっていたか」
二松学舎大付との決勝を振り返れば、浅木は5-4と1点をリードした8回裏から登板したものの、打者3人に対して一死を取っただけで降板し、失点1がついた悔しさを冬の間の成長につなげた。ピンチで登板した田中は、12回までを辛抱強く投げた37球が自信になった。
もう一人、公式戦未登板の右腕・小俣颯汰(新2年生)に和泉監督は目を細める。
「本来は秋にベンチに入れる予定でしたけど、登録直前になって肩をちょっと痛めて投げられない状態になったんですね。もともとポテンシャルのある投手だし、肩が治った今では紅白戦でもいいピッチングをしている。どちらかというと綺麗な直球ではなく、打者の手元で微妙に動くボールが特徴で、130キロから135キロは出る。彼には期待しているところです」
中村を筆頭に浅木、田中、小俣らタイプの異なる投手が複数そろった陣容は、和泉監督が記憶をたどってもなかなか見当たらない。来たる選抜で「全員が機能すれば」と期待が膨らむ。
「昨年の夏は、投手に関してはほとんどイメージがわかなかった。中村がこけたらもう、みたいな状況でしたけど、今回は他の投手陣の成長もあって、選択肢がいくつか出てきそうな感じです。甲子園を経験しているのは中村だけだけど、みんなに表が出て、うまく回り出すとちょっと面白いんじゃないかな、と。回らなかったときには、ごめんなさいと言うしかないですけど」
中村は打線でも中軸を担う。昨秋は中村、捕手の山中晴翔(新3年生)、一塁の國光翔(同)と甲子園経験者で主にクリーンアップを形成。甲子園で救援として2試合に登板した川上真(同)は遊撃手に絞って、淑徳との秋季東京都大会準決勝からは1番に回った。
4番や7番も務めた川上の打順も含めて、和泉監督は今も打線の最適解を求めている。