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昔とは明らかに違う選手との関係。「スマホが教科書」の時代に早稲田実はどう信頼を築くのか?和泉実監督が通算10回目の甲子園へ

2025/03/15 NEW

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【写真:編集部】



選手間のミーティングには「入らないようにしている」

 
 「逆にそういったミーティングに、僕は入らないようにしている。入ると僕も言いたくなるし、監督が何かを言うと話がそれで終わっちゃう。ならば最初から聞かない方がいいけど、もちろん明らかに方向性が違っているな、と感じられる状況になれば、どこかのタイミングで介入する。新チームになってから僕が介入したケースは、今のところはないですね」
 
 バッテリーを中心に、甲子園経験組が数多く残った今大会の早稲田実には、必然的にファンから大きな期待が注がれる。もっとも、早稲田実には苦い経験があると和泉監督は言う。
 

 
 「生徒たちによく話しているのは、荒木大輔が1年生の夏に準優勝したチームは、下級生が非常に多かった。秋の東京都大会で優勝して、明治神宮大会でも準優勝して迎えた春の選抜は優勝候補ナンバーワンとされながら、1回戦で京都の東山に負けてしまった。当時の早稲田実が相手校をなめていたのか、といえば絶対にそれはない。ただ、経験値があったからこそ甲子園慣れしてしまったというか、最終的には油断していた、といった見方をされてしまった」
 
 昨秋の明治神宮野球大会で、選抜出場をほぼ確実なものにしていた横浜(神奈川)が優勝したため、今回の選抜における関東・東京枠が「6」から「7」に増えた。
 
 選抜出場を「関東・東京枠の最後に滑り込めたものであり、本当に横浜さんのおかげですよ」と笑う和泉監督は、抗う気持ちをもって挑もうと、生徒たちの心に訴えている。
 
 「甲子園の悔しさは甲子園でしか返せない。そのチャンスを今回もらったのだから、何となく慣れている、という感じで戦ったところで、いい結果なんて残せない。夏の選手権に8年も出られていない状況で迎えた昨年夏の西東京予選前は、宇野をはじめとする最上級生がものすごく抗って練習していた。その気持ちが今のチームにあるのか、という話もよくしています」
 
 歴史や伝統に導かれた、具体的で腹に落ちる経験談を用意できるのも早稲田実の強みといっていい。バッテリーを中心とした守備力を武器にする、図らずも低反発バット時代仕様のチームとなった早稲田実は心の部分をさらに高めながら、22日の高松商(香川)との1回戦に臨む。

 

 
【了】

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