「投手のスピードに興味がない」「誰を中心にという概念はない」千葉黎明・中野大地監督が目指す”ウチらしい野球”とは。創部101年で掴んだ初の甲子園
2025/03/17
【写真:編集部】

高校野球 春の甲子園 最新情報
昨春に低反発バットが本格的に導入され、約1年が経過しようとしている。同バットの導入により、得点数や本塁打数に変化が生じていが、その中で各校の指揮官はいかなる指導を行なっているのだろうか。今回は千葉黎明高校の中野大地監督にインタビューを実施し、部員への指導法、選抜甲子園出場までの舞台裏に迫った。(取材・文:藤江直人)
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関東大会で揺らいだ“ストロングポイント”
昨年の選抜王者・健大高崎(群馬)に0-6で敗れ、10年ぶりに臨んだ秋季関東大会をベスト4で終えた直後。春夏を通じて初めての甲子園出場をほぼ確実な状況にしていた千葉黎明(千葉)の中野監督は、冬の間に鍛えるテーマを問う質問に「打力を磨きます」と即答した。
散発5安打で完封された残像も、メディアとのやり取りに大きく影響していた。しかし、関東大会の戦いを冷静に振り返ってみると、ちょっと違うな、という思いが頭をもたげてきた。
健大高崎との準決勝では、4回裏のショート山本大我(新3年生)のファンブル、5回裏の2番手・田代敬祐(同)の暴投、そして8回裏の4番手・岩下竜典(新2年生)の暴投がすべて失点につながった。他にもレフトの林倫生(新3年生)もエラーを記録している。
しばらくして、指揮官は「守備と走塁に重きを置く」と冬の強化方針を修正した。気持ちも新たに目指していく野球は、奇しくも正式導入から2年目を迎える、反発係数が抑えられた新基準の低反発バットにもたらされる野球にマッチしている。中野監督はこう続けている。
「もともと守備と走塁を重視するという、絶対に譲れない方針がわれわれの土台にあった。新チームになってからも重点的に取り組んできたなかで、関東大会では3試合でエラーが7個も出た。土台が崩れてしまえば、満足のいく戦いはできない。自分たちが磨き上げてきたストロングポイントはぶれてはいけないという思いもあって、守備と走塁にもう一度磨きをかけようと」
決勝で中野監督の母校・拓大紅陵を8-7で破り、初優勝を果たした秋季千葉県大会を振り返ってみれば、1回戦からの全6試合でエラーはひとつだけだった。あらためて原点回帰を誓う千葉黎明の守備を支えるのが、タイプも学年も異なる5人で編成される投手陣となる。
昨夏の背番号「10」をエースナンバーの「1」に変えた右腕の田代に加えて、左腕ではキレのあるボールを投げる米良康太(新3年生)と190センチの長身を誇る飯高聖也(新2年生)がスタンバイ。さらに垣花奏樹(新3年生)と岩下が続く陣容に、中野監督は「全員が順調です」と目を細める。