多角的な視点で発信する野球専門メディアベースボールチャンネル



叱ると怒るは本当に違う? なぜスポーツ現場で体罰がなくならないのか【脱・叱る指導】

2025/03/22 NEW

text By



 指導者のみなさんに知っておいてほしいことがあります。
 
 それは、どれだけ愛情を注いで叱ったとしても、「叱られる側が自ら学ぶモードにはならない」ということです。もっと正確に言えば、「学びのモードが邪魔される」と表現したほうがいいかもしれません。

 人間はネガティブな感情を体験し、強いストレスを感じたとき、脳内にある「扁桃体」を中心とする神経ネットワークが活性化します。近年の研究では、このネットワークが活性化すると、知性や理性に重要な役割を果たす「前頭前野」の活動が大きく低下することがわかっています。
 
 この状態に陥ったとき、人が選択する行動は「戦う」か「逃げる」のどちらか。その場では指導者の言うことを聞いて反省しても、それは多くの場合単なる逃避(逃げる)行動に過ぎません。主体的に深く学んだかとなると、決してそうではありませんので、指導者からすると「何度言ったらわかるんだ!」と言いたくなる状況が再び生まれてしまうのです。

1 2 3


error: Content is protected !!