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前橋育英、3年ぶり夏の甲子園切符。荒井直樹監督の一貫した「凡事徹底」

28日、第98回全国高校野球選手権群馬大会の決勝が行われ、前橋育英が高崎健康福祉大学高崎を8-4(延長12回)で破った。前橋育英は全国制覇した2013年以来、3年ぶり2度目の夏の甲子園出場となる。チームの指揮を執る、荒井直樹監督の指導理念は一貫している。

2016/07/28

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凡事徹底とは?

 帽子のツバに、記した言葉がある。

 凡事徹底--。

 日大藤沢で指導者としての道を歩み始めた頃、野球に関する雑誌の中で、初めてこの言葉を目にした。何年も後になってから、イエローハットの創業者である鍵山秀三郎さんが常々言っている言葉なのだと聞いた。

 本物とは、中身の濃い平凡なことを積み重ねること。
 それはまさに荒井監督自身が求めていたものであり、以来、自分自身の心には常に「凡事徹底」が刻まれている。
 誰にでもできることを、誰にもできないぐらい徹底してやる。できないことをやる、というわけではないのだが、これが思っている以上に難しい。
 選手たちに対しても、監督は常に「誰にでもできることを、誰もできないぐらい徹底してやり続けよう」と言い続け、指導の中で実践してきた。今でこそ、当たり前のことを当たり前にやり続けた結果だと認めてもらえるようになったが、実は、結果が見えにくく、伝わりづらいものでもある。

 私がこだわるのは、決して派手なことではない。

 例えば、ミスの後をそのままにしないこと、キャッチボールは心を込めて、丁寧に行うこと、たとえタイミングはアウトでも常に全力疾走すること、物はいつでも大切に扱うこと、ネクストバッターズサークルで振ったバットのグリップをそのまま地面に置くのは厳禁、食べものは残さないこと等、ありきたりなことだ。

 選手たちからすれば今さら言われるような話ではない。「本当にそれで勝てるのか?」と疑問を感じることもあったはずだ。
 だからこそ、繰り返し言い続けなければならない。同じことを何度も、何度も、それこそ選手からすれば「また言っているよ」と思うぐらい、発信するこちらも言い飽きるほど、繰り返して、何度でも、当たり前の同じことを言い続ける。

 選手との勝負、と言っても過言ではない。

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