夏の甲子園、球児の健康面の課題はベンチ入り選手増で改善可能【小宮山悟の眼】
近年、温度が上昇し、炎天下で球児がプレーすることに対して心配の声が増えている。小宮山氏は、安全で、楽しく野球ができる環境にするための改善策が必要だと考えている。
2016/08/14
夏の甲子園は国民の風物詩
しかし、我々が高校球児だったころと比べ、最近は信じられないくらい気温が上昇していることも事実だ。炎天下で球児がプレーする現状を、「酷使だ」と批判されれば、「おっしゃる通りです」と認めるしかないだろう。さらなる改善策を施さなければいけないのかもしれない。
ただ、時期をずらして開催する案は現実的ではない。高校生は学業優先という観点から言えば、長期休暇のこの時期以外に、全国大会を行うのは難しいのだ。
また、元高校球児という立場から言わせてもらえば、甲子園以外の球場で開催することは、大会の魅力を半減させてしまうようなものだろう。
言うまでもないが、夏の甲子園大会の正式名称は、「全国高等学校野球選手権大会」だ。それなのに多くのファンは「昨日、甲子園見た?」と会話する。球場名が大会そのものを指すほどファンに浸透しているイベントは他にない。
小学生や中学生の野球少年たちも、甲子園が聖地だからこそ「いつかあそこでプレーしたい」と夢見るのだろうし、それが野球人口の底辺を支えることにも、大いに役立っているのだ。
野球界の一員としての立場から言わせてもらうと、日本国民に夏の風物詩として定着しているほどのブランド力を自ら手放すのは、何とももったいない話だと思う。