来季はアメリカで〝武者修行〟――四国アイランドリーグPlus、大胆な改革案を発表
12月13日、香川県高松市内のホテルで、四国アイランドリーグPlusの設立10周年の記念式典が行われた。席上、四国アイランドリーグPlusが来季からアメリカで試合を行うなど、画期的な戦略を展開することが発表された。
2014/12/14
Koh Hiroo
米独立リーグとの交流も。11年目、新たなる展開
1.全球団による健全経営
そもそも、球団の経営状態をここまではっきりと開示すること自体が異例だと言える。
リーグ全体での赤字額は2006年年度には2億円だったが、2013年度には5963万円まで圧縮された。高知、愛媛などは単年度黒字を達成した。
経営努力をさらに進め、4球団全体での黒字化を目指すと明言した。
そのための方策として、レギュラーシーズンの集中化を行う。
これまで4月から9月までの180日間に週末を中心に、各球団で80試合を行ってきたが、これを4月5月(前期)と8月9月(後期)の2期に分け、平日を中心に集中的に行うこととした。
これによって経費を圧縮し、支出額を制限する。
2.さらなる選手強化と海外展開
改革の目玉と言えるだろう。
前期、後期の間にできた2カ月間を、海外展開の期間とする。
25人程度の選抜チームを結成し渡米、米独立リーグのキャンナムリーグ(カナディアン、アメリカンリーグ)、アトランティックリーグの各球団と対戦する。
キャンナムリーグとの試合は、17試合が予定され、すべてリーグの公式戦に組み入れられる。アトランティックリーグとは8試合程度、こちらは調整中だ。
キャンナムリーグは4球団。20年の歴史を持ち、過去に佐野慈紀なども在籍した。
アトランティックリーグは8球団。独立リーグの中でも実力は最上位にあるとされる。過去にマック鈴木、大家友和、渡辺俊介が在籍したこともある。
この海外転戦によって選手は実力を磨く。また現地との交流によって人材発掘やMLB関係者へのアピールも行う。
さらにすでに行われているアメリカでのトライアウト事業も洗練化させる。
3.地元地域との共生、新たな事業創出
海外遠征組を送り出した四国4球団は、この期間を利用して地域貢献をさらに進める。収益に結び付くようなイベント、事業などを展開する。
選抜されなかった選手は、この期間に実力向上を目指しトレーニングに励む。そしてより地域密着を進める。
さらにJABA(日本野球連盟)、NPBとの連携を強化していく。
鍵山誠CEOは、「野球の実力は向上したが、経営陣の努力はそれに及んでいない。独立リーグという“文化”を持続するためにも、赤字の解消は絶対に必要」とし、海外戦略については「リスクはあるが、経営について考え抜いた末に決断した」と語った。
MLBでの活躍を目指す日本人選手にとって、新しい機会が生まれたとも言えよう。
明日は、鍵山誠CEOへのインタビューをもとに、海外展開などについてさらに詳細にお伝えする。