延期となっていたJABA九州大会を制したのはNTT西日本。10チームが日本選手権出場権を獲得【横尾弘一のプロにつながる社会人野球】
第69回JABA九州大会が、8月5日から北九州市民球場、北九州市立大谷球場で行われ、NTT西日本が初優勝。日本選手権の出場権をつかんだ。
2016/08/18
グランドスラム
日程が後ろに倒れたことで、若手にチャンス
第69回JABA九州大会が、8月5日から北九州市民球場、北九州市立大谷球場で開催された。本来は5月のゴールデン・ウィーク明けに行われているのだが、今年は熊本地震の影響で延期となった。
すると、優勝チームに日本選手権の代表権を与えるJABA大会としては異例の都市対抗後になったことで、いつもとは違う戦いが繰り広げられた。
リーグ戦で唯一の3連勝をマークしたのは、CブロックのHondaだった。第1戦で強豪・王子のエース・近藤 均を攻略すると、西部ガス、宮崎梅田学園と九州勢も連破。攻守両面で粘り強さを発揮できたのは、今年は東京ドームに駒を進められず、都市対抗の連続出場が12年で途切れた悔しさもあったからだろう。
Hondaと同様に都市対抗出場を逃した明治安田生命、三菱重工長崎、出場権は手にしたものの一回戦で敗れたNTT西日本、Honda熊本、東芝も安定した戦いぶりを披露。10月下旬に開幕する日本選手権に向け、チーム力を再整備しようという強い意欲が伝わってきた。
また、全体的に印象深かったのは、新人をはじめとする若手選手の活躍だ。5月開催の場合は、都市対抗予選を目前に控えているゆえ、若手にチャンスを与える戦い方はなかなかできない。しかし、都市対抗後の開催になったことで、激しいレギュラー争いを経て台頭した若い力が、社会人の水にも慣れてはつらつと躍動した。
見事に初優勝したNTT西日本は、都市対抗一回戦で東京ガスのエース・山岡泰輔に95球で0-2とシャットアウトされた。メンタルの強化でチーム力を高めようと考えた大原周作監督は、大会前まで徹底した走り込みを課し、そこで存在感を示してきた4年目以下の若手を積極的に起用。不動の四番・髙本泰裕、永松孝太と梅津正隆の二遊間らベテランを休ませた。すると、新人の川口紘輝が先発で奮投し、準決勝進出をかけた日立製作所との対戦では2年目の小林康大が決勝本塁打。元気者のルーキー・石山励雄は打率.462をマークして首位打者賞を獲得するなど、ヤングパワーがチームを活気づかせた。
惜しくも準優勝だったHondaでも、幸良 諒、田中宏征と新人右腕が先発を任され、若い投手陣を必死にリードした辻野雄大、四番に座った遠藤雅洋もルーキーと、フレッシュな陣容で際どい戦いをものにしながら経験を積む。ベスト4のHonda熊本では2年目の北村 優、新人・長池城磨の両外野手、明治安田生命でも左腕の三宮 舜、右腕の小林昌樹、野手では道端俊輔捕手や泉澤涼太外野手らルーキーがイキのいいプレーを見せた。