バスケ協会の一件から何を学ぶか?――プロ野球界発展に不可欠な、プロの〝マネジメント〟力
日本バスケットボール協会が、11月26日、国際バスケットボール連盟(FIBA)より資格停止処分が通知された。その結果、選手やファン、スポンサーなど多方面にわたって影響を及ぼした。この件は一例に過ぎないが、阪神タイガースで通訳や営業の仕事に携わり、現在スポーツ業界に特化した、人材紹介の会社『RIGHT STUFF』の取締役を務める河島徳基氏は「スポーツの発展・普及において、もはやマネジメントの〝プロ〟の関与は不可欠」と指摘する。
2014/12/17
マネジメント能力の不足が、バスケ界の悲劇へつながった
日本のバスケットボール界が大きく揺れている。なぜ、このような事が起こってしまったのか?
一言で言い表すならば、マネジメント能力の不足だ。
日本のバスケ界の、ひいては日本スポーツ界の発展のために目標を設定し、目標に向けて戦略を立てて実行していく、そして修正していく、普通の世界では当たり前のことができていないからだ。
何もバスケ界に限った話ではない。
サッカー界はまだマネジメントが効いているほうだが、プロ野球にも多くの課題が横たわっている。これらは、プロ野球誕生の歴史的な背景から起因する、球界全体をマネジメントするプロの不在が要因と考えられるだろう。
セパ12球団ともに、どのようにプロ野球の価値を高めていくのか、ひいてはリーグの収益を上げていくのか?(交流戦の減少がベストなのか? 球団の格差是正をして、ドラフト会議の仕組みを変えなくていいのか?) 各球団はどのように集客し、収益を上げていくのか? オーナーと選手の関係性はこのままでいいのか? 現在まで、プロ野球はほとんど選手育成にお金や時間をかけてこなかったが、本当にいいのか?
2000年代に入り、各球団、NPBそれぞれが集客のための努力やファンサービス向上のための様々な施策は確実に行われている。
しかしそもそもプロ野球界全体としての目標を設定して、戦略実行、修正していくというマネジメントの視点から、それらができているのかといえば、疑問符だ。
プロ野球ですらこのような状況なのに、他の競技団体も言うに及ばずである。なぜそうなってしまうのか?
日本のスポーツの育成・普及に関しては長い間、教育機関とボランティアが担ってきた。そして強化面は企業が担ってきた。
Jリーグやプロ野球を見ていればわかるが、スポーツ業界をマネジメントしていくのは並大抵のことではない。
そこには大企業、政治家、メディア、ファン、地域の親御さんから子どもまで幅広いステークホルダーが存在している。
さらに日本のスポーツ界で物事を難しくしている「先輩」と呼ばれる方々もおられるわけである。
実はスポーツをマネジメントするということはかなり難易度の高い仕事であり、これをマネジメントできる人間がそもそも日本にどれくらいいるのだろう? いわんや、片手間でできる仕事では到底ないのである。