バスケ協会の一件から何を学ぶか?――プロ野球界発展に不可欠な、プロの〝マネジメント〟力
日本バスケットボール協会が、11月26日、国際バスケットボール連盟(FIBA)より資格停止処分が通知された。その結果、選手やファン、スポンサーなど多方面にわたって影響を及ぼした。この件は一例に過ぎないが、阪神タイガースで通訳や営業の仕事に携わり、現在スポーツ業界に特化した、人材紹介の会社『RIGHT STUFF』の取締役を務める河島徳基氏は「スポーツの発展・普及において、もはやマネジメントの〝プロ〟の関与は不可欠」と指摘する。
2014/12/17
的確なマネジメントの結果が、日本スポーツ界を豊かにする
そもそもマネジメントとは何か? ピータ・ドラッカーはその著書『マネジメント 基本と原則』の中で3つのマネジメントの役割を説いている。
1 自らの組織に特有の使命を果たす。
2 仕事を通じて働く人たちを活かす。
3 自らが社会に与える影響を処理するとともに、社会の問題の解決に貢献する。
これらを意識して、運営しているスポーツ関連団体がどれくらいあるだろうか?
一例をあげたい。1993年にJリーグが開幕するわけだが、これは奇跡というしかない。
もちろんJリーグにも課題は多いが、日本サッカー界はわずか20年の間に、W杯に5回も出場し、日本人が世界のビッククラブのスタメンに名を連ね、子どもたちも緑の芝生の上でサッカーを楽しんでいる世界を創り出したのである。
なぜ、このようなことが可能だったのか? それはマネジメント力であり、ひいては「人」の力によるものなのだ。
岡田武史元日本代表監督は「日本サッカー界は、まず選手がプロ化し、その後指導者がプロ化した。今度はフロントがプロ化する番だ」と言っている。
今まで、日本のスポーツ界は育成・普及・強化・魅せるという流れをすべて片手間で行ってきたわけだが、これからはここをマネジメントするプロ集団が間違いなく必要になる。
現在、このプロ化が各分野で進み始めている。
第5代Jリーグチェアマンの村井満氏は、元リクルート執行役員。一般社団法人日本野球機構(NPB)特別参与(侍ジャパン事業戦略担当)荒木重雄氏は、欧州最大の通信会社ドイツテレコムの元日本法人代表取締役。(株)クリムゾンフットボールクラブ(ヴィッセル神戸)代表取締役清水克洋氏は、元マッキンゼーアンドカンパニーインクジャパン。東北楽天ゴールデンイーグルス球団社長の立花陽三氏は、元メリルリンチ日本証券執行役員。横浜マリノス株式会社代表取締役社長を務める嘉悦朗氏は元日産リバイバルプランプロジェクトリーダー。株式会社ファジアーノ岡山スポーツクラブの代表取締役木村正明氏は元ゴールドマン・サックス。日本ブラインドサッカー協会事務局長の松崎英吾氏は元(株)ダイヤモンドなどだ。
こういった「ビジネスパーソン」の方々がトップに就いている団体が現れはじめ、マネジメントを効かせはじめている。
ITをはじめとした科学技術の急激な発達や、グローバル化、国内情勢の激しい変化などに対応しなければスポーツを発展生成させていくのは難しい時代が到来している。
スポーツには様々なポジティブな価値が存在している。
今の日本ではこれらの価値を多くの国民に届けられていない。
これは非常にもったいないことであり、残念なことである。
スポーツの価値を向上させて、その価値を届け、多くの国民をハッピーにしていくためにも、今こそ、スポーツマネジメント・ビジネスの考え方が必要なのである。