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プロ志望届を出さなかった逸材。甲子園2試合連続完封の早川隆久、センバツV腕・村上、夏準V北海の大西健斗ら

ドラフト会議で指名を受けるために義務づけられているプロ志望届の提出が、高校生・大学生ともに6日で締め切られた。中にはプロが注目するであろう逸材でありながら、志望届の提出を見送った選手もいる。

2016/10/06

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甲子園で3試合連続本塁打の入江は大学へ

 ドラフト会議で指名を受けるために義務づけられているプロ志望届の提出が、高校生・大学生ともに6日で締め切られた。

 

 同日の午後5時時点で日本高野連と全日本大学野球連盟のホームページに公表されている提出者は高校生105人、大学生111人となった(締め切り間際に提出した場合、後日公示されるケースもある)。

 

 しかし、そんなメンバーを見て行くと、プロ志望届を出さなかった意外な選手たちがいる。
 大学進学なら4年後、社会人なら最低3年後と先を見据え、静かに鍛錬の時を過ごす。なかにはプロ志望の気持ちがありながら断念した選手もいただろう。彼らの今後の成長を期待しながら、そんな新たな道へ進む選手たちを紹介したい。

 

 高校生では”関東左腕四天王”と言われた4人のうち2人が志望届の提出を見送った。

 

 そのうちの一人がこの夏の甲子園でベスト8に進出するなど3度の甲子園出場、U18高校日本代表のアジア制覇に貢献した早川隆久(木更津総合)だ。U18代表の投手で唯一、志望届を出さなかった。

 

 早川はこの夏の甲子園では2試合連続の完封勝利を挙げた。
 理想的な投球フォームでストレート、スライダー、ツーシームをコーナーに投げ分ける。ソフトバンクの和田毅をイメージさせ、まさに「精密機械」のコントロールが持ち味だ。圧巻だったのは、夏の甲子園3回戦の広島新庄戦だ。相手のエース・堀瑞輝と投げ合い、9回を被安打3、球数99、無失点に抑える完封勝利。試合時間1時間23分の快投だった。

 

 プロ志望届を出せば、左腕不足にあえぐ地元のロッテなどが興味を示したのではないだろうか。早稲田大学への進学が有力視されているが、もし実現すれば和田の出身でもある。4年後、和田のような投手になっていれば、楽しみだ。

 

 早川とともに3度の甲子園に出場した鈴木昭汰(常総学院)も大学進学の予定だ。

 鈴木は”高校BIG4”の一人・藤平尚真(横浜)と同じく中学時代にU15日本代表を経験。高校入学後もチームを引っ張ってきたが、今年春からは故障などもあり、今一つ伸びきらなかった印象だ。最終的に法政大へ進学を決めたようだ。強烈なプロ志向があった選手だけに、並々ならぬ迷いがあったと想像する。鈴木が決断した選択を支持したい。

 

 そのほかでは、センバツ優勝投手の村上頌樹(智辯学園)、夏の甲子園準優勝に輝いた北海(北海道)のエース・大西健斗も大学へ進む。ともに、コントロールとメンタルの強さでチームをけん引した。また、センバツに出場した吉高壮(明石商)、投打に魅力がある中川楓(桐光学園)は志望届を出せば、指名されただろう。

 

 社会人野球の門をたたく投手は、九州四天王の一人・太田龍(れいめい)、2年夏の甲子園に出場した完封勝利を挙げた草海光貴(上田西)、報徳学園のサウスポー・主島大虎ら。こちらは3年後以降に、プロからの指名が解禁となるが、楽しみな選手ばかりだ。

 

 野手に目を移すと、夏の甲子園で3試合連続本塁打を放つなど優勝に貢献した入江大生(作新学院)、入江とともにU18高校日本代表にはいった林中(敦賀気比)も志望届の提出を見送った。

 

 入江は高校2年夏に投手として甲子園の舞台を経験。この夏は、ほぼ打者一本で勝負し、チームの優勝に貢献した。ただ、先を見据えると145キロを超えるストレートを持っているだけに、投手としての可能性も垣間見せる。進学予定先の明大は、岡大海(日本ハム)や山崎福也(オリックス)といった投打両面に魅力ある選手を育てあげてプロに送り出した実績がある。4年後の姿が非常に楽しみだ。

 

 林中は1年秋にレギュラーをつかみ、昨春のセンバツ初制覇に貢献している。細身の体からは想像つかないパンチ力のあるバッティングが目を引く。甲子園でも2本塁打をマークしている。また華麗なフットワークを活かした守備にも定評がある。大学でしっかりとした体を作り、将来的には坂本勇人(巨人)のような選手に成長してもらいたい。

 

 そのほかのU18日本代表組では座ったままの二塁送球で甲子園を沸かせた渡辺雄太(いなべ総合)をはじめ、キャプテンを務めた小池航貴(木更津総合)、伊藤優平(八戸学院光星)、佐藤勇基(中京大中京)、納大地(智辯学園)が志望届を出していない。

 代表選手以外では中学時代に陸上の全国大会でサニ・ブラウンに勝った男として知られる五十幡亮汰(佐野日大)、強肩・強打・快速のスラッガー・栗原健(常葉菊川)、1年夏に甲子園出場した今村大輝(二松学舎大附)、16年センバツで準優勝した高松商のスピードスター安西翼(高松商)も4年後のプロ入りを目指す。

 

 今年の高校生は、昨年のオコエ瑠偉(楽天)平沢大河(ロッテ)のような大物の選手がおらず、「投高打低」と言われ続けてきた。ここからの4年でしっかり巻き返したい。

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