寺島はヤクルトで大成するか? 高校BIG4は即戦力にあらず、各球団に問われる「育成力」【2016年ドラフト総括・高校生編】
2016年度ドラフト会議も終了。高校生・大学生・社会人の3カテゴリー別に指名された選手を振り返りながら、総括をしたい。高校生編だ。
2016/10/25
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高卒1年目で1軍の戦力になるのは、スーパーな選手のみ
高校BIG4を含め、高校生で指名を受けたのは34人。例年、指名漏れに有名選手がいるものだが、今年に限ってはおおよその有力球児が指名されたという印象だ。
高校生というのは、うまく育成がなされたときには、想像を超えるほどの成長度合いを見せるが、一方、ボタンを掛け間違えると、大変な結末が待っている。前者は山田哲人(ヤクルト)、後者は辻内崇伸(元巨人)に大別されるだろうが、高校生の育成はデリケートに取り組まなければならない。
BIG4は順当に上位指名を受けたが、果たして、彼らや今年の高校生にとって、どのようなドラフトだったのだろうか。
優勝投手の今井達也(作新学院)が西武、寺島成輝(履正社)がヤクルト、藤平尚真(横浜)が楽天から単独1位指名を受けた。重複の可能性もあっただけに、少し意外だったかもしれない。
この3人で気になるのは、彼らが指名された球団が今季下位であったこと、そして、即戦力の投手を必要としていたことだ。
ややもすると、高校生でありながら即戦力として期待されている可能性があるのではないか。
昨今、高卒選手のプロデビューが早くなっている。裏を返すとプロ野球界を去るのも早くなっているのだが「高卒は3年目から」という考え方は薄くなってきている。
松坂大輔(ソフトバンク)、ダルビッシュ有(レンジャーズ)、田中将大(ヤンキース)ら高卒1年目から大活躍した選手の存在が「力があれば」という風潮にもなっているのだろう。
しかし、松坂やダルビッシュや田中が「スーパー」な人材だったことを忘れてはいけない。彼らが高卒1年目で成功を収めたからといって、誰でも高卒1年目でデビューさせて良いというわけでもない。ちなみに上記3人でさえ、30歳前後に肘のじん帯を断裂している(田中は部分断裂)という事実もある。
そういう流れがある中で、下位3球団に彼らが指名を受けたことは非常に気になる。