岩村、大家、ボウカーが描く、三者三様のこれから――広島だけでない福島に根付く「赤」
かつてMLBでNPBで活躍した男たちが、今福島にある独立リーグのチームに集まる。彼らはこの地で三者三様の思いを描いている。日本中が「赤」に染まった9月10日、広島東洋カープは25年ぶりの優勝を果たした。時を同じくしたその日、福島県営あずま球場ではBCリーグ(以下BC)・福島ホープスのホーム最終戦がおこなわれていた。NPB傘下に属さない独立リーグ。ここから多く若者がNPBやMLBを目指している。その中には輝かしい実績を残してきたベテラン選手も多い。ホープスには見たことのあるビッグネームが3人も在籍する。岩村明憲、大家友和、ジョン・ボウカー。
2016/11/18
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大家友和「求められるところで投げる」
「年齢を気にしないと言っても身体が正直な部分はある。疲れが取れにくかったり……。その部分はこれまで経験したこともたくさんあるので、ケアや準備を怠らないようにしている。同じフィールドにいるのだから、それは言い訳にもならない」
MLBで51勝を挙げた大投手も40代に入った。多くの選手が20代のリーグにおいて、大ベテランと呼ばれる年齢だが、気持ちはまったく折れない。
米独立リーグで投げていた14年から2年が経ち、福島で投げている。ある種「絶滅危惧種」と呼ばれるナックルボーラーだ。
「いろいろなことを試して来て、自分の中で着実に手応えはある。確かにコントロールは難しい。でも質という部分では、確実に良くなって来ている。すべての投球がナックルというわけでもないけど、比率は上がっている」
独立リーグからどこを目指しているのか。NPBなのか再びアメリカか。
「そこはまったく考えていない。必要とされるところがあれば……なければしょうがないし……(笑)。そこは僕が考えてもしょうがない。来年、どこで投げているかも、現時点では想像できない。
『最終戦あたりで、もう1回投げるか?』と聞かれましたが、遠慮しました。僕の中での課題はある程度、突き詰められたし、あとは若い選手に、と」
「絶滅危惧種」ではない。このハートがあれば「天然記念物」になりえるものだ。