岩村、大家、ボウカーが描く、三者三様のこれから――広島だけでない福島に根付く「赤」
かつてMLBでNPBで活躍した男たちが、今福島にある独立リーグのチームに集まる。彼らはこの地で三者三様の思いを描いている。日本中が「赤」に染まった9月10日、広島東洋カープは25年ぶりの優勝を果たした。時を同じくしたその日、福島県営あずま球場ではBCリーグ(以下BC)・福島ホープスのホーム最終戦がおこなわれていた。NPB傘下に属さない独立リーグ。ここから多く若者がNPBやMLBを目指している。その中には輝かしい実績を残してきたベテラン選手も多い。ホープスには見たことのあるビッグネームが3人も在籍する。岩村明憲、大家友和、ジョン・ボウカー。
2016/11/18
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ジョン・ボウカー「絶対にNPBでプレーするために」
「僕の方からアキ(=岩村明憲監督)に直接、連絡をしてホープスに入団した。電話だったかな。とにかくチャンスが欲しかったんだ」
ポテンシャルの高さには以前から評判があった。柔らかい打撃に、内外野守れる守備。04年ドラフト3順目でサンフランシスコ・ジャイアンツに指名されたほどの逸材だった。メジャー定着はならなかったが、12年に来日し読売ジャイアンツへ、同年の日本一に貢献した。その後はイーグルスでもプレーした。
「日本には良いイメージしか残っていない。NPBの投手はレベルが高く、アジャストするのには苦労した。でも周りの人にいろいろなアドバイスをもらって、少しずつ打てるようになった。
生活の部分でも本当に日本が好きなんだ。東京も仙台も、今、住んでいる福島も。みんな親切だし、トラブルに対してナーバスになることもない。野球に集中できる環境が揃っているんだ」
米国からのオファーもあったそうだが、断った。日本でプレーすることしか頭にない。
「NPBに復帰してプレーすることしか考えていない。そのためにはスカウトの人の目が届きにくい、米国のマイナーより日本でプレーした方が良い。もっともっとレベルアップするためにも、アキが近くにいてくれるのは大きいよ」
話が終わると早速、バーベルを上げ始めた。それもベンチ裏の通路で、だ。
三者三様、様々な想いでプレーする。NPBなどに比べて決して恵まれた環境ではない。だが志の高さは見ている者の胸を叩く。この日も多くのファンがチームカラー「赤」を身にまといスタンドを埋めていた。
ホープスの3人の未来から目が離せない。そして福島ホープスは、間違いなく地元の「希望」である。