【2016年ドラフト交差点】大阪でしのぎを削った左腕・寺島成輝(履正社)と高山優希(大阪桐蔭)。ライバル同士の舞台は大阪からプロへ
2016年度のドラフト会議が20日に迫っている。この1年を振り返ると様々な選手たちがドラフト戦線に名乗りを上げた。各地区でしのぎを削り運命の日を迎える。そんなドラフト候補たちをリポートする。今回は大阪でライバルとしてしのぎを削った二人の左腕・寺島成輝(履正社)と高山優希(大阪桐蔭)の交差した野球人生をリポートする。
2016/10/14
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中学時代から重なり合う二人
「寺島はもう試合で投げて先を行ってるけど最後はお前が差し切るんや。俺はそのつもりで鍛えるからな!」
高山優希が入学してしばらくすると、大阪桐蔭・西谷浩一監督はよく寺島成輝の名前を出しながら発破をかけた。
今は後方を走っているが最後にはきっちり抜き去る。
それはもちろん高山への期待であり、超素材型左腕を育て切るという西谷監督自身の決意でもあったのだろう。
それから約2年半。2人のサウスポーの間には、現時点でも明確な差がある。ただ、すべてが実力ではなく周囲の評価を含めての差。結果のみで評価されるこれから先の世界でこの差がどう変化していくのか。
中学時代は共に大阪のボーイズリーグでプレーした。寺島は箕面ボーイズ(3年途中から各連盟無所属の硬式チーム、ニューヤンキース)、高山は大阪東ジャガーズに所属し、対戦は2度あった。1度目は中学2年の夏。下級生ながら先発した寺島を東ジャガーズが打ち込み「たぶん6対0くらいで勝ちました」。そう話した高山も救援登板し2回を無失点で抑えた。「あの時はまだ相手の投手が寺島って知らなかった」と高山が言えば、寺島も「あとから高山がいたって知りました」と話している。
2度目は互いにエースとなった3年春。全国大会出場をかけた大阪北支部の代表決定戦だった。2人は先発し1対1のまま7回を終えたため1日7イニングまで、というリーグ規定により揃って交代。延長戦の末、箕面ボーイズが勝利し、全国大会へ進んだ。
寺島に当時の思い出を尋ねると「あの試合で同点タイムリーを打たれたのが高山。僕は3番だったんですけど、打つ方は全然でした。高山はピッチャーとしてはまとまっていた印象があります」
高山の寺島評はこうだ。
「こっちはいつもランナーを出しながらやっと抑えているのに向こうは余裕。マウンドで堂々としているし、そんなに力を入れてないようで球も速い。見ている人からしたら僕と寺島は全然違っていたと思います。完全に先を走っている感じでした」