【ドラフト交差点】無名投手が1年で関西大学野球No.1投手の評価へ。MAX152キロ右腕近畿大学・畠世周
高校時代無名だった右腕が、今や関西大学野球を代表する選手へ成長を遂げた。
2016/10/18
栗田シメイ
まだまだ発展途上
「桜井さんの投球を見ていても、全ての回で良いボールを投げているわけではない。ただ、ピンチやここ一番の場面でギアが上がる。そして、打者に与える威圧感もベンチから見ていても感じました。ただ迫力のあるボールを投げ込むのではなく、コーナーをついた投球ができるので野手のリズムも良くなる。そのリズムが攻撃にも伝わるから試合にも勝てるし、『エースとはこういう存在だ』ということを学べました。僕自身の強みは球速ではなく、内角を攻められる姿勢。アウトローは投手の基本ですが、僕はそれに加えインコースで勝負できる投手でありたい。精度には強い自信を持っていますし、インコースを強気で攻める投球はチームの野手陣にも伝わると考えるようになりました」
4年春の秋季リーグ戦では、最多の11イニングを投げ抜き、防御率1.52の数字を残したが勝ち星には恵まれず、1勝5敗に終わった。しかし、この結果を受け、さらなるモデルチェンジを図り進化を続けている。
「僕の理想は打者にスイングをさせないことなんです。そのためには球威のあるストレートも必要ですが、緩急も必要となる。より高いレベルを考えた時、よほどキレがありスピンのあるボールを投げ込まないと通用しない。自分は現段階では、上のレベルで三振をバンバンとれる投手ではないし、自分の投球よりもチームが勝つことを優先して考えています。そのためには、打者にとって”勝たせたい”と思われるような日頃の行いも大切ですし、変化球のレベルを磨くことも課題です。チェンジアップ、カットボールには自信がありますが、スライダーはまだまだ改善の余地がある。とにかく球速を追い求めていた昔とは違い、今は投手としての総合力をいかに伸ばせるかという意識に変わった部分が、大学で成長したことだと思います」
現在は右肘痛に悩まされ、投球を控える状況が続いている。だが、状態は良化しており、リーグ戦での登板も視野に入ってきた。強気なメンタルや、恵まれた体躯と体力というプロで活躍するための要素は充分だ。そして、いまだ成長の余地を大きく秘める高いポテンシャル。MAX152キロの”素材型”右腕は、まだまだ発展途上だ。