【2016年ドラフト高校生編】本当に“BIG4”?好投手が逸材の宝庫。打者は評価が分散か
プロ野球の新人選択会議(ドラフト)が20日に迫っている。 果たして、今年のどんな選手たちが指名されるのだろうか。2016年のドラフト候補たちを、高校・大学・社会人と3回に分けてお送りする。今回は高校生編。
2016/10/17
静岡・鈴木将平、秀岳館・九鬼はチームの軸に
野手の方に目を移すと、投手ほどの圧倒的な存在感がある選手は少ないかもしれない。だからこそ、スカウティングとチームの補強ポイントの兼ね合いで、評価が分散するに違いないだろう。野手を見る面白みはそこかもしれない。本当にチームを強くする気があるなら、野手は上位で狙わないといいチーム作りはできない。
パリーグを制覇した日本ハムを見ての通り、高校生野手の伸び率は飛躍的だ。
西川遥輝、陽岱鋼、中田翔、近藤健介、杉谷拳士、中島卓也、大谷翔平とそのメンバーをみれば、説得力がある。
その中での今年の野手トップ評価は、U18日本代表でも活躍した鈴木将平(静岡)だ。
旧チームからのレギュラーで、走塁・守備はもちろんのこと、シャープな打撃を評価する声は高い。チームの軸には必ずなれる選手で、彼を獲れば、5~10年、1番打者を探さなくていい。
次に、この夏以降、評価を上げたのが、秀岳館の捕手・九鬼隆平だ。
昨秋、今年、春夏の甲子園と国体と全国4大大会に出場。かねてから注目されてきたが、こういう選手は初登場から大会を重ねるごとにみる側のハードルが上がり、評価を下げることが多い。九鬼の場合は春まではその傾向があったが、この夏で一気に変わった。もともと強肩強打で鳴らしていたが、そこに脚力があることを見せ、キャプテンシーの一端を見せた。チームリーダーの素養が評価されている。
同じ秀岳館の野手・松尾大河も評価を上げた。好打者タイプでフットワークのいい守備面も注目。プロで需要の多い、右投げ右打ちの内野手とあって、欲しがる球団もあるはずだ。
ここまではU18日本代表の選手たちだ。U18代表の投手陣のほとんどがプロ志望届を出したのに対し、野手はこの3人だけしかいない。豊富な投手陣に押されている。
U18 代表組以外だと、田城飛翔(八戸光星学院)も好打者タイプとしてあげたい。この夏の甲子園ではバックスクリーンに本塁打も放ったが、柔らかいバットコントロールが光る。足もあり、将来的には、1、3番を任せられるタイプだ。
一方、スラッガータイプに目を移すと、全国的には無名ながら、細川成也(明秀日立)の評価が高い。
細川は投手も務めるほどで体に馬力がある選手で、高校通算本塁打は63本と結果も出ている。投手としても最速146キロのストレートがあり、こちらも気になるところだ。
同じ投打の魅力があるスラッガーとしては、今年春・夏の甲子園に出場した藤嶋健人(東邦)だ。
藤嶋は昨年の神宮大会で2打席本塁打。その打球にど肝を抜かれたが、打った球の球種が違っていたのも、彼の魅力を感じた一つの点だ。打席の中で割り切って勝負ができる打者はそう多くいない。投手志望と聞くが、各球団はどう評価しているだろうか。
石原(京都翔英)、今井順之介(中京)は、今年夏の甲子園に出場しながら、能力の片りんを見せることはできなかった。守備面に課題はあるが、和製大砲として期待できる。昨今、ホームランバッターを待望しているチームが多いだけに、じっくりと時間を掛けて、育てていきたい。
このほかでは、九鬼に続く捕手陣も多士済々だ。
インサイドワークなら古賀優大(明徳義塾)スローイングなら郡拓也(帝京)バッティングなら坂倉将吾(日大三)と名門校を支えたタイプの違う捕手がいる。捕手受難の2016年シーズンだっただけに、どの球団もチェックしているはずだ。
また、細川とチームメイト糸野雄星(明秀日立)、大型三塁手の高橋優斗(愛工大名電)天本昂佑(秀岳館)、加藤脩平(磐田東)らも各球団のスカウトがどう評価しているかが気になる選手だ。