中日ドラ1・柳裕也の献身が報われた日。明大・侍ジャパンの主将がつかんだ最初で最後の大学日本一
11月16日、明治神宮大会決勝が行われ、明治大が桜美林大を5対2で破り5年ぶり6度目の優勝を達成。それは同時に、柳裕也(中日ドラフト1位指名)の献身が最高の形で報われた瞬間だった。
2016/11/21
高木遊
大学球界の顔として
「ドラフトの目玉」は創価大の田中正義(ソフトバンク1位指名)だったが、「大学球界の顔」として1年間、柳は奮闘を続けてきた。
最も注目度とレベルの高い東京六大学野球で名門の主将を担い、リーグ戦を春秋連覇。侍ジャパン大学代表でも、投手として異例の主将に任命された。選考合宿の宿泊施設の各部屋を自由時間にまわり、候補選手約50人全員と会話を交わすなど、即席のチームを早い段階で「戦う集団」に引き上げた。
メジャーリーガー予備軍と戦った日米大学野球では、2試合に先発し、計11回3分の2を投げ4安打無失点19奪三振という文句なしの内容で、大学日本代表の優勝に貢献した。
そして、明治神宮大会で有終の美を飾った。決勝戦ではリードを許したままの降板となったが、味方の逆転劇は部員全員の柳に対する恩返しが形になったように思う。
「たくさんの人に支えられ、人間としても成長できたことをこれからも大切にしていきたいです」(柳)
その誠実な振る舞いと真摯な姿勢で、いずれは「日本球界の顔」としての役割を期待したい。