WBCへ選手派遣見送り、辞退者続出……投手陣課題のチャイニーズ・タイペイはロッテ陳らが柱。強打の打線で活路開けるか
駒田英さんは、台湾の政府系海外向け短波ラジオ放送の日本語放送の記者、パーソナリティだ。番組では台湾の様々なトピックを日本に紹介しているが、とりわけスポーツ分野では共著「台湾プロ野球(CPBL)ガイド」を著すなど造詣が深い。ウインター・リーグが開催される、台中洲際棒球場で今年の台湾プロ野球事情と、WBCの代表チームについて話を聞いた。
2016/12/26
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苦しいメンバー編成
――第4回WBCが目前に迫っています。今回のチャイニーズ・タイペイの実力はいかがでしょうか。
台湾野球を応援する立場としては心苦しいのですが、メンバー編成から見て、かなり厳しいと言わざるをえません。
まず、ラミゴ・モンキーズが選手派遣を見送りました。
もう一つの理由は、代表の主力になると見られていた、MLB及びMLB傘下でプレーする投手の多くが辞退を表明しているからです。
――ラミゴ・モンキーズが、選手派遣を見送ったのはどうしてでしょうか。
今回のWBCでは、台湾野球界のトップ組織、主にアマチュアを管轄する中華民国野球協会(CTBA)と、台湾プロ野球を運営する中華プロ野球大連盟(CPBL)が共に、監督の人選、選手の選抜、合宿、偵察、強化試合、賞金の分配などの事務について、主導権を持って進めることを希望していました。
しかし長年、国際大会の窓口を務めてきたCTBAはその経験を主張、一方CPBLは、WBCはMLB主導のプロ主体の大会であり、代表の大半もCPBLの選手であるからこそ、プロ側が主導権をもって進めるべきと主張、両者は真っ向から対立しました。
9月、スポーツ行政を管轄する教育部体育署の立ち会いのもと三者会議が行われ、CPBLは主導的に進めたいと再度アピールしました。体育署はこれを認めずCTBA主導が決定、これに反発したCPBLはWBCへの支援を行わないことを決めました。
統一、中信兄弟、義大(現・富邦)はWBCへの参加を表明したものの、かねてからCPBLの主張に賛同していたラミゴは、WBCに選手を派遣しないことを決めました。
ちなみに、ラミゴにはシーズンMVPの王柏融のほか、打点王の捕手、林泓育、強打の陳俊秀、リーグを代表するセットアッパー陳禹勳などがおり、いずれも代表入りが確実視されていました。
――辞退を表明した選手もいますか?
CPBLの投手では、かつてNPBでプレーした鄭凱文 (中信兄弟)、前回大会の日本戦で救援登板した陳鴻文 (中信兄弟)ら、代表クラスが辞退していますね。