「日本一のショートに」。2015年ドラフト候補・柴田竜拓(国学院大)の挑戦
悲願のリーグ優勝そして初の日本一を目指す国学院大の主将に就任したのは、プロ注目の遊撃手・柴田竜拓(岡山理大附高/読みはたつひろ)。野球小僧を思わせる爽やかな笑顔の裏にある強い決意を聞いた。
2015/01/18
Yu Takagi
貴重な経験を積むも「不本意なシーズン」だった2014年
柴田のこの3年間を振り返ると、着実に実績と経験を積み重ねてきている。
安定感抜群の守備と、小柄な体格を感じさせない力強い打撃で大学2年時からスタメンの機会を得ると、昨年には大学日本代表、21U日本代表に選出され、国際大会で貴重な経験を積んだ。
だが柴田本人は「春の優勝決定戦では全く活躍できなかったですし、秋も自分のケア不足でチームに迷惑をかけてしまい、悔しい思いの方が強いシーズンでした」と振り返る。
「勝ったほうが優勝」という状況で迎えた春の亜細亜大戦では1安打に終わった。また秋は、開幕前の練習中に左足のハムストリングを痛めた影響で出遅れ、期待されながらも規定打席未到達で終わる不本意なシーズンだった。そしてこの冬、チームの新主将に就任。グラウンド上だけでなく、生活面からチームを引っ張る覚悟だ。
「柴田にはまだ甘さがある」
国学院大を指揮する鳥山泰孝監督は、「高校生をスカウトする時に、顔つき目つきは必ず確認するのですが、柴田は当時からいい表情で野球をしていました。野球に対する真摯な姿勢は変わりませんね」と話す一方、「柴田には、いち学生として野球だけでなく、学業面・生活面からも模範となってほしい。そこにまだ甘さがある」と期待ゆえの厳しい指摘も忘れなかった。
これまで、国学院大の主将は嶋基宏、聖澤諒(ともに楽天)、渡邉貴美男(JX-ENEOS)らグラウンド内外でチームに好影響を与える人物が重責を担ってきた。それゆえに柴田も、その点の到らなさを自覚している。できる・できないと、やる・やらないは違う次元の話だ。
理想の主将像には、3年前にチームを1部に返り咲かせた谷内亮太(ヤクルト)を挙げる。1年生の柴田は主将の谷内と同部屋で数カ月過ごした。
「谷内さんは物事すべてに真摯に取り組んでいました。気持ちにブレや波が全くなく、それが野球にもにじみ出ていた」と、同じ遊撃手というだけでなく、いち野球人として薫陶を受けた。今年はそれを自ら実践しなければならない立場にある。