「粘り強く諦めない」姿勢で甲子園常連校に。高橋新体制で早稲田の野球はどう変わるか?
今季より早稲田の監督に就任した高橋広氏。これまで鳴門工で春4回、夏7回甲子園に導いた高校野球界の名将だ。指導相手が大学生に変わる今季、高橋イズムはどう早稲田に浸透するのか?
2015/01/19
選手の個々のデータも収集
朝一番のキャッチボールでの一コマ。監督がサングラスをしていたある部員に「今、サングラスをしている意味があるのか?」。陽は高くない。眩しくはないだろう。かえってサングラスは視野を狭めているかもしれない。果たして今のプレーに無駄はないのか、理にかなうのか。緻密でクレバーさも調味料となる。
1対0で勝つ野球が理想だそうだ。たとえば無死で四球、盗塁、バント、内野ゴロ。死に物狂いで1点をもぎ取り、計算の立つ投手と守備で守りきる。神宮の野球、優勝するために派手さは必要としない。
ストップウォッチで計測したり、別の日には各自の遠投の計測も敢行。それもそのはず、IT機器、スマホにも詳しく、数字などのデータはパソコンに入力されているそうだ。始まって2週間。数字を見比べながら選手の力量をじっくり把握していこう、という段階だろうか。
前回このコラムで、「高校ではあと1勝で甲子園というチャンスを7回逃した」と紹介した。初出場まで19年かかっている。粘り強く諦めないのが人物評。「早稲田精神をつないでくれる人」と早大関係者は未来を託す。
ライバルの慶大も大久保秀昭監督が就任した。こちらは大学時代は主将で通算100試合に出場。社会人の日本石油(現JX-ENEOS)ではベストナインを4回受賞。アトランタ五輪でも銀メダルに貢献した。そして近鉄バファローズにドラフトされ入団、と陽の当たる場所を経験してきている。ある意味、高橋監督とは正反対の歩みと言えるだろうか。そんな視点の観戦も楽しめそうだ。