九州最強右腕が誓う打倒早実と甲子園初勝利。福岡大大濠・三浦銀二の進化【第89回センバツ】
昨秋のドラフト会議で阪神タイガースに4位指名された浜地真澄投手に強烈な対抗心を燃やしていた福岡大大濠の三浦銀二投手。ライバル視していた先輩から学んだものを武器に、センバツ初優勝を狙う。
2017/03/20
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上質の直球で秋の九州王者に
抜群の安定感で2季連続となる福岡大大濠の九州大会優勝に貢献した三浦銀二。175㎝73㎏と一見どこにでもいそうなスペックなのだが、内蔵されたスタミナの容量は計り知れず大きい。秋は福岡初戦から明治神宮大会の準決勝まで、公式戦13試合すべてに先発完投。110回を投げて防御率1.64と、九州王者のエースにふさわしい成績を残した。
ゆったりとした溜めからスリークォーターで右腕をしならせ、常時130中盤から後半の直球を叩く。最速は144キロ。しかし、三浦の持ち味は球速ではない。
「自信があるのは直球の制球力です。制球力があれば直球だけでも十分に抑えることができる。それを再確認した秋でした」と言うように、古賀悠斗が外角低めに構えたミットに対して、回転数の高い上質な直球を立て続けに突き刺してくる投球は圧巻のひと言だ。
九州大会の準決勝で全国的強打を誇る秀岳館打線に5四死球を与えたが、その他の3試合は1、2、1個と安定感を発揮。秀岳館戦も歩かせた後にはきっちりと三振や併殺を取り、試合の主導権を守り切っている。
左打者には外へ逃げていくチェンジアップ。右打者にはカット気味のものを含めた大小のスライダー。三浦の制球力は「外を意識させながら大胆に内を突く」古賀の配球とも見事に調和し、秀岳館戦は被安打5でスコアボードに9個のゼロを並べたのだった。
九州大会では4試合中3試合で完封、明治神宮初戦の明徳義塾戦も無失点で相手を牛耳った。直球、変化球の巧みな交配と制球力が、勝負どころでひときわ輝いた秋だった。
もうひとつの持ち味は、どういう状況でも決して自分のペースを乱さない精神力にある。走者を得点圏に置いても表情に変化はなく、黙々と古賀の要求通りにコースを突く姿勢を崩さない。連戦連投で9回を投げ抜く心身のスタミナ、そしてこれの基盤にある精神力は秋の九州を制する上で最大の武器となった。