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九州最強右腕が誓う打倒早実と甲子園初勝利。福岡大大濠・三浦銀二の進化【第89回センバツ】

昨秋のドラフト会議で阪神タイガースに4位指名された浜地真澄投手に強烈な対抗心を燃やしていた福岡大大濠の三浦銀二投手。ライバル視していた先輩から学んだものを武器に、センバツ初優勝を狙う。

2017/03/20

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冷静さに隠された負けず嫌いの炎

「相手や試合の展開を見ながらギアを自在に上げ下げできる。このあたりは浜地から盗んだ三浦ならではの能力です」
 
 そう語るのは八木啓伸監督だ。前年に福岡大大濠の背番号1を背負った右腕で、昨秋のドラフトで阪神に指名された浜地の影響を多分に受けていると言うのである。
 
「打者との間合いを計って狙いを外す投球を浜地さんから学びました。また、勝負どころでは首を振ってでも自分の感性を優先させ、その後ベンチで古賀と入念な答え合わせをするのですが、このへんも浜地さんを見て勉強したことですね」
 
 三浦は直球の回転やスライダーの角度を学ぼうと、浜地の投球練習が始まるとフォームや球筋をつぶさに観察した。浜地が練習を終えると、たった今まで浜地が投げていたマウンドに立ち、こっそりと歩幅を確認したこともある。
 
 両者は福岡大大濠の両輪として昨春の九州大会制覇に大きく貢献した。ただ、三浦にとっては浜地が最高の教材であったと同時に、学年の枠を超えて強烈な対抗心を燃やしたライバルでもあった。九州大会の最中に、三浦はこんなことを言っている。
 
「自分もプロに行きたいと思っています。浜地さんの指名は嬉しかったし励みにもなりました。もちろん、浜地さんの順位(4位)の評価で進みたいですね」
 
 浜地も浜地で「後輩たちの甲子園出場は素直に嬉しいけど、ちょっと悔しい」とライバル心を隠そうとしない。両投手ともマウンド上では冷静沈着を装ってはいるが、投手が持つべき闘争心は並大抵なものではない。また、そうでなければ西日本短大付や秀岳館、鹿児島実など、並み居る強豪を押さえつけて九州の連覇など果たせるはずもないのだ。
 
 明治神宮大会は準決勝で早稲田実に敗れた。三浦は清宮幸太郎に対して1安打4四死球と全打席で出塁を許し、4番の野村大樹には試合を決定づける特大の2ランを含む3安打4打点と“袋叩き”にあった。
 
「投げ続けたことの疲労とかそういうことではないんです。心のどこかで逃げの気持ちがあったのかなと思います」
 
 と三浦は秋唯一の敗戦を忘れてはいない。甲子園を前に全国を知り、さらに痛手を負った経験を無にしないためにもと、冬は直球のさらなる制球力アップと持ち球のチェンジアップ、スライダーに磨きをかけてきた。
 
「阪神に入団した浜地さんよりも先に、自分が甲子園で勝ちたいですね」
 
 福岡大大濠を26年ぶり4度目のセンバツに導いたその右腕で、まずはチーム悲願の春初勝利を呼び込みたい。

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