注目は清宮のみならず。超高校生級の強打者揃った第89回センバツ
球春の到来を告げるセンバツ高校野球。各球団のスカウトも数多く顔を見せ、高校野球にとってはシーズン最初の大きな“ショーケース”の場となっている。今回は前回のコラムに続き今大会に出場する注目選手について紹介する。
2017/03/19
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近畿勢は好素材の捕手が多い
最大の注目選手は言うまでもなく清宮幸太郎(早実)だ。入学直後から大きな注目を集めながらも、結果を残し続けていることは立派の一言。そして技術的な長所は柔らかさと積極性にある。半身の力を抜いて鋭く体を回転させることができており、打球の速さや飛距離も年々向上している。また公式戦ではまともに勝負してくることが少ないため、ストライクを逃さずに打つという意識が非常に強い。間違いなくドラフトの目玉と言える存在だ。
清宮と双璧をなす左のスラッガーが安田尚憲(履正社)だ。下級生の頃は腕力に頼って崩されることが多かったが、昨年の夏から下半身に強さが出て持ち前のパワーが生きるようになった。ボールをしっかりと呼び込んで押し込むようにして飛距離を出すスタイルはイ・スンヨプ(韓国・三星)を彷彿とさせる。初戦は清宮から五打席連続三振を奪った桜井周斗(日大三)との対戦となるが、そこで結果を残せば更に評価は上がるだろう。
右の強打者タイプでは太田英毅(智弁学園・遊撃手)、福元悠真(智弁学園・外野手)、若林将平(履正社・外野手)の名前が挙がる。太田、福元は旧チームから中心選手で、ともに甲子園でも一発を放っている。初戦に対戦する熊本工業の149km右腕、山口翔との対決は見ものだ。若林は強力打線の中でもチームトップの打率と打点をマーク。フォローの大きいスイングで、センターにも放り込める飛距離は高校生離れしている。
捕手は猪田和希(神戸国際大付)、篠原翔太(報徳学園)、後藤克基(滋賀学園)と近畿勢に好素材が揃った。三人とも中軸を任せられており、打てる捕手が少ない現在の野球界を考えると貴重な存在と言える。そしてこの三人以上に秋にインパクトのあるプレーを見せた捕手が古賀悠斗(福岡大大濠)だ。
捕手に転向したのは新チームからだが、速さと正確性を兼ね備えた送球は一級品。体は大きくないものの高校通算40本塁打を超えるパンチ力も持ち合わせている。ショートでは西巻賢二(仙台育英)、比嘉賢伸(盛岡大付)、堀口優河(前橋育英)、湯浅大(健大高崎)、今井涼介(明徳義塾)などの名前が挙がるが、その中でも一番に推したいのが嶋谷将平(宇部鴻城)だ。
素早い反応と抜群のグラブさばきはとても高校生とは思えない。リストの強いバッティングも光る。左打ちの好打者では西浦颯大(明徳義塾)、安里樹羅(健大高崎)、丸山和郁(前橋育英)が面白い。全員が脚力と長打力を備えており、走攻守いずれもレベルが高い。